

名瀬徳洲会病院の医事課 課長補佐 重田様、医事課 主任 東様、病棟 主任 保枝様、医師事務作業補助者の川端様・前田様にインタビューを行いました。
※以下敬称略とさせていただきます
名瀬徳洲会病院
名瀬徳洲会病院は、鹿児島県奄美市にある病床数319床の病院です。奄美大島は鹿児島市と沖縄本島のほぼ中間に浮かぶ島で、南西諸島の中では沖縄本島に次いで2番目に大きく、人口約6万人が暮らしています。1997年の開院以来、徳洲会グループにおける奄美地域の中核病院として、救急車を受け入れる救急医療を含む一般医療から、療養・リハビリテーション・地域包括ケア病床、さらには訪問診療・看取りに至るまで、地域に必要なあらゆる医療体制を切れ目なく提供しています。

“鳴りやまない電話に 限界だった現場”
─AI電話を導入する前、電話対応において具体的にどのような課題や大変さがありましたか?
東:医事課では病院の代表電話の一次受付をしており、電話を取れるスタッフは1〜4名います。AI電話導入前は、代表電話にかかってきた予約関連の電話を該当の部署に転送する形をとっていました。
約1年前、電話対応の専任スタッフが退職したことで、かかってきた電話はすべて医事課で受けることになりました。そのため電話対応業務が通常業務を圧迫し、ストレスを溜めていました。「電話対応が辛くて辞めたい」という職員もいて、どうにかしなきゃいけないとみんな思っていました。
導入前にどれくらい電話対応ができているのかを1日だけ調査したのですが、朝の8時半から17時の間に約300件の電話に対応していました。それでも取りこぼした電話は肌感覚で10件以上あったと思います。
重田:医事課の外線は6回線ありましたが、対応人数が最大4名しかいないので、それ以上電話が鳴ると取れませんでした。導入前に一番多かったのが、患者さんからの予約に関する電話を該当部署に回した後、その部署から患者さんに折り返し電話をするのですが、それが繋がらず、また患者さんから代表電話に電話がかかってくる、ということでした。
前田:AI電話導入前は、患者さんからの問い合わせ内容をメモ書きで対応していました。医事課から回ってくる診療予約に関する電話はそんなに多くなかったので、そこまで負担は多くなかった印象ですが、患者さんからは「電話がつながるのが遅い」「何回電話してもつながらない」というクレームがものすごく多かったです。
保枝:導入前は、診療科に直接キャンセルや予約の申し込みが入り、その対応に追われていました。電話対応スタッフは3人用意していて、当時は1日10件ぐらいかかってきていました。

医事課 主任 東様
“「後輩がかわいそうで」何度でも挑んだ院内承認への道”
─AI電話を導入しようと思ったきっかけと、社内で承認を得るまでにどのような工夫や苦労がありましたか?
東:AI電話を導入したきっかけは、やはり「電話対応が辛くて、取っても取ってもキリがない」という相談を後輩から受けることがあり、かわいそうに感じてどうにかしたいという思いから導入を決めました。一度は上にプレゼンしたものの却下されましたが、やはりかわいそうな後輩を見ていたので、再度トライすることにしました。
院内承認を得るために工夫したポイントは、改めて「AI電話が経営層にどう映るのか」を考えました。事務部がラクになるだけでは費用もかかるので承認はもらえないと思ったので、費用対効果を考え、看護部がラクになるというところをアピールできれば、検討してもらえるんじゃないかと考えました。経営層が納得できるような証拠・効果を探すのに苦労したのですが、『看護部の業務の負担軽減』をメインテーマにした資料を作成しました。
重田:当時電話の苦情が多かったので、それの改善につながればということで資料を取り寄せ、担当者からの連絡があって、という流れです。最終的にDr.JOYを選んだ決め手は、他の徳洲会病院でAI電話を導入しているところがあり、そこからの評判を聞いたからです。
“高齢の患者さんにも、現場のスタッフにも ― シナリオ設計にかけた試行錯誤”
─シナリオを設計・運用していく中で、意識していることや工夫している点を教えてください。
東:シナリオ設計では、大きく2つのことを意識しました。ひとつは、高齢の患者さんが離脱しにくいシナリオにすることです。高齢の患者さんが多いため、どうしても最初はAI電話になじまないだろうなという懸念があり、どうすればスムーズに使っていただけるか、非常に頭を悩ませました。もうひとつは、患者さんと現場のスタッフ、つまり医師事務作業補助者ですね、その両方が使いやすいシナリオにすることです。実際に予約業務を行う医事課の作業が煩雑になってしまっては良くありません。双方にとって使いやすい設計にするにはどうしたらいいか、ここはものすごく苦労しましたし、現在も苦労しているところです。
重田:現在、AI電話の導入から3ヶ月が経ち、シナリオを見直しているところです。これまでは折り返し対応に1週間という期限を設けていましたが、患者さんから「長い」というご指摘があり、折り返し期日を3日に変更するなど、徐々に改善を図っています。

医事課 課長補佐 重田様
“メモが消え、残業が減った ― 導入後に生まれた心の余裕”
─導入後、入電件数や対応件数に変化はありましたか?
東:AI電話導入前と導入後の入電件数ですが、現状そんなに大きな変化はありません。AI電話への入電件数が月平均370件なので、1日平均では大体14件です。折り返し対応については、月平均370件のうち、SMSで処理済みとなったものが月平均230件、1日平均するとだいたい10件ちょっとです。ただし、この230件の中には、自動送信されるSMSも含まれています。
─導入前後で、業務の進め方や時間の使い方にどのような変化がありましたか?
東:導入前の予約関連の対応というと、電話が終わった後に対応スタッフはメモ書きをして各診療科に回していました。それがAI電話だけで済むようになったので、メモをする時間・メモを外来に運ぶ時間を丸々浮かせることができましたし、メモだと字が汚くて読めない・書き間違いがあるとかで手戻りが発生していたので、それもなくなりました。
人員削減という考え方で言うと、丸々人を1人減らすことは現状難しいですが、浮いている時間は確実にできています。そのため、他の業務や注力したい業務に自分たちのエネルギーを振り分けるということは、多分どんどんできやすくなっていくのだろうなと思っています。
前田:導入後は、電話対応に割かれる時間が大幅に減っている感覚があります。AI電話だと先に要件を聞いてくれるので、以前電話で確認していた内容を聞く手間が大きく省けています。以前は1回の電話で10分くらい対応していたものが、今はだいたい半分、早いと1分くらいで終わったりしています。
患者さんからの問い合わせ内容が事前に分かっているので、スムーズに対応できるようになり、その他の業務に早く取り掛かりやすくなりました。また、残業時間についても、導入前は大体1時間から1時間半ぐらい残業していましたが、現在は定時で帰ることの方が多く、残業したとしても30分程度です。
それに、AI電話導入後は予約関連の入電数が以前と比べて増えている印象があります。おそらく、以前は代表電話で取りきれなかった予約関連の問い合わせが、AI電話に流れてきているからだと思います。
保枝:病棟の方も、AI電話導入前は3人以上置いていた電話対応スタッフが、導入後は1人になりました。最初は使い方がわからなくてちょっと大変でしたが、慣れるとむしろ今はAIの方がいいと思います。やはり、自分の都合で患者さんの対応ができるので、すごくラクになりましたね。やっぱり電話だとその場で対応しないといけないし、どんどんかかってきちゃうし、記録にも残さないといけないのが大変でした。
これまでは、半日ずっと電話当番をしているような感じになってしまって、患者さんのところに全然行けない状態でしたが、現在は時間があるときに電話対応ができますし、3日以内に対応することになっているので、患者さんも割と満足できているんじゃないかなと思います。
─導入後、気持ちの面ではどのような変化がありましたか?
重田:AI電話導入後も引き続き代表電話には多くの電話がかかってきている状況なので、医事課の業務は変わりません。しかし、予約に関する電話対応をしなくてもいいという心の余裕が生まれました。
“「苦手なのよね」の声の向こうにあるもの ― 患者さんの反応”
─患者さんからは、AI電話に対してどのような反応がありますか?
東:導入後の患者さんの反応として、「苦手なのよね」といった声はやはり入りますが、一方で、満足されているかどうかについては、なかなか直接的な声として上がってこないため、よくわからない部分もあります。ただ、AI電話がある一定数使われ続けている状況を見ると、結局は予約の全体の3割をAI電話が拾ってくれています。そうした実績から、便利だと思って使ってくださっている患者様もある程度いらっしゃるのではないかなと思っています。
保枝:やはり高齢の方からは「直接話したい」という意見もありましたが、若い産婦人科の患者さんに関してはうまく使いこなしています。訛りやイントネーションなどの問題も、今のところ感じられません。

病棟 主任 保枝様
“現場が選ぶ、いちばん頼れる機能”
─ AI電話の機能の中で、特に気に入っている・よく使っている機能はありますか?
東:AI電話の機能でお気に入りのものは、間違いなくSMSです。
川畑:状態のところで「処理済」とかをちゃんと選べて、誰がいつ電話を取って対応したかがすぐに分かるところが良いなと思っています。
保枝:スタッフに好評の機能としてはショートメールです。ちゃんとどういう症状かも入れられるし、わかりやすいと聞いています。

医師事務作業補助者の川端様(左)、前田様(右)
“電話業務を見つめ直すきっかけに”
─AI電話を導入・運用してきて、感じている意義や気づき、これから同じ課題を抱える病院に伝えたいことはありますか?
東:病院の規模とか電話対応の体制によってAI電話の効果は様々だと思います。導入すればすぐに電話件数や人員を大幅に減らせるとは限らず、当院でも現在進行形で試行錯誤を続けています。一方で、個人的にはこの取り組みが、患者さんが電話をかけてくる際に何に困っているのかを真剣に考える良い機会になっています。これまでなんとなくこなしてきた電話業務を定量的に見つめ直したことで、大変だと感じてはいても、何がどのように大変なのかを十分に整理できていなかったことにも気づきました。
AI電話のシナリオを考える中で、患者さんにとってわかりやすい言葉を慎重に選ぶことを以前より意識するようになりました。運用しながらシナリオを改善することで、患者さんや業務に合わせたカスタマイズが進み、患者さんにとっても担当者にとっても使いやすいシステムに育てていける可能性を強く感じています。
AI電話は、単に電話対応を置き換えるための仕組みではなく、業務や患者さんとのコミュニケーションを見つめ直すきっかけにもなると思います。
─本日ありがとうございました。

Dr.JOY株式会社 AI電話事業部 カスタマーサクセス
能井
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