平時の面会者管理が、災害時の命綱に。現場の混乱を未然に防ぐ「面会者把握DX」の重要性

2025/9/17

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はじめに

「恐れ入ります、こちらの面会簿にご記入をお願いします」。

病院の受付で、日に何度も繰り返されるこの光景。来訪された方がペンを取り、お名前や面会先の患者名、入館時刻などを書き込む。私たち医療従事者にとっては、ごく当たり前の日常の一コマですよね。

しかし、もしその瞬間に、大規模地震などの大災害が襲ってきたら?あるいは、突然の豪雨で地域の電力がすべて失われたとしたら?その「当たり前」の業務が、一瞬にして機能不全に陥るという現実を、私たちは想像できているでしょうか。

災害対策というと、どうしても非常食の備蓄やライフラインの確保といった、大掛かりなテーマを思い浮かべがちです。もちろんそれらは極めて重要ですが、同時に、日常業務の延長線上にある脆弱性にも目を向ける必要があるのかもしれません。

この記事では、「災害対策」と「日常業務」は別物ではない、という視点から、平時の「面会者管理」の在り方を見直すことが、いかに有事の際の有効な備え、いわば「命綱」になり得るのかを、現場の視点に立って考えていきたいと思います。

多くの施設では災害時の患者対応は想定されていますが、面会者管理までは十分に検討されていない場合もあるのではないでしょうか。



「あの人、まだ院内に?」災害時に機能しない、紙の面会簿が抱える限界

災害発生直後の院内は、情報の錯綜と混乱の極みにあります。そんな中で、「院内にいるすべての人々の安全を確保する」という初動の要となるのが、面会者の正確な把握です。しかし、私たちが日常的に使っている紙の面会簿は、残念ながらこうした非常時において、あまりにも多くの課題を露呈します。

1.判読不能な手書き文字と、不正確な記入情報

まず直面するのが、文字が読めない、という根本的な問題です。急いで書かれたであろう走り書きや、そもそも記入されている情報が不正確なケースも少なくありません。2025年現在でも多くの医療機関で同様の課題が継続しています。連絡先が書かれていなかったり、面会先の病棟・患者名が曖昧だったりすれば、その時点で安否確認の手がかりを一つ失うことになります。普段であれば笑い話で済むかもしれませんが、災害時にはこれが致命的になりかねません。

2.「入館」だけで「退館」記録がないことの常態化

面会簿の運用で、最も悩ましいと感じるのがこの点です。多くの方は真面目に記入してくださいますが、お帰りになる際に自主的に退館時刻を記入する方は、残念ながら少数派ではないでしょうか。その結果、面会簿上では院内に滞在していることになっているけれど、実際にはもう帰宅されている、という記録が大量に発生します。災害時には、この確認作業に、現場の貴重なマンパワーが割かれてしまうのです。

3.誰がどこに何人いる? 集計・検索が絶望的に困難

仮に、すべての情報が正確に記入されていたとしても、次の壁が立ちはだかります。何十ページ、何冊にもわたるバインダーの中から、特定の人物の情報を探し出したり、「現在、院内には何人の面会者がいるのか」を正確に集計したりする作業は、極めて困難です。職員が必死にページをめくっている間にも、状況は刻一刻と変化し、対応は後手に回ってしまいます。

4.水濡れ、紛失…物理的な脆弱性と保管の問題

そして忘れてはならないのが、紙媒体そのものの脆弱性です。地震で棚から散乱し、どこに行ったか分からなくなる。スプリンクラーの作動や浸水で濡れてしまい、インクが滲んで判読不能になる。こうした物理的なリスクは、災害時には常に付きまといます。大切に保管しているつもりの記録が、最も必要とされる瞬間に失われてしまう可能性があるのです。


視点を変える――「平時の効率化」が、そのまま「有事の備え」になる

ここまで紙の面会簿が抱える課題を挙げてきましたが、「わかってはいるけれど、災害対策のためだけに新しいシステムを導入するのは、コストも手間もかかるし…」と感じるのが正直なところだと思います。

ここで、少し視点を変えてみてはいかがでしょうか。 「災害対策のため」ではなく、「平時の受付業務を、もっと楽で効率的にするため」に、新しい仕組みを導入する、と考えてみるのです。

1.まずは受付スタッフの負担軽減と、患者家族の待ち時間短縮から

「面会簿はあちらです」「ペンはこちらです」「帰りに退館時間の記入を…」。こうした案内や説明は、受付スタッフにとって日々の細かな負担になっているはずです。また、混雑時には面会簿の前に行列ができ、患者家族を待たせてしまうこともあります。もし、これらのプロセスをデジタル化できれば、スタッフの負担が減り、面会者もスムーズに受付を済ませることができます。日々の業務が少し楽になる、というだけでも、導入を検討する価値はあるのではないでしょうか。

2.正確なデジタルデータがもたらす安心感

面会者の情報が正確に、そしてリアルタイムにデジタルデータとして蓄積されることのメリットは、平時においても計り知れません。例えば、面会に関する問い合わせがあった際に、PCですぐに検索して応対できる。あるいは、感染症対策で面会者の動向を把握する必要がある場合にも、正確なデータは迅速な対応を可能にします。この「いつでも正確な情報にアクセスできる」という状態は、日々の業務における大きな安心感につながるはずです。

3.ICT化でスムーズになる、患者家族とのコミュニケーション

面会者情報がデジタルで管理されていれば、例えば面会時間の制限や感染対策に関するお願いなどを、面会者に対して一斉に、あるいは個別に通知するような仕組みと連携できる可能性も広がります。ICTを活用することで、これまで電話や掲示に頼っていたコミュニケーションが、よりスムーズで確実なものへと進化していくでしょう。



面会者管理DXで実現する、これからの業務フロー

では、具体的にDX(デジタルトランスフォーメーション)によって、面会者の把握と管理の業務フローはどのように変わるのでしょうか。

1.タブレットで完結する、スマートな受付体験

まず、受付の光景が一変します。設置されたタブレット端末に面会者自身が必要情報を入力するだけで、受付が完了します。初めての方でも直感的に操作できるため、スタッフが付きっきりで案内する必要もありません。手書きによる文字の判読不能といった問題も、もちろん起こりえません。

2.入退館記録の自動化と、院内滞在者のリアルタイム可視化

退館時にも同様の操作を行うことで、入退館の記録が自動的に、かつ正確に記録されます。これにより、管理用のPC画面を見れば、「今、この瞬間に、誰が院内に滞在しているのか」がリアルタイムで一覧表示されるようになります。もう、「帰ったはずの人」の確認に頭を悩ませる必要はなくなるのです。

3.その瞬間に役立つ「安否確認リスト」――災害対策モードへのスムーズな移行

そして、いざ災害が発生した際。管理者はシステムを確認するだけで、その瞬間に院内にいたはずの面会者全員のリストを瞬時に出力できます。名前、連絡先、面会先の患者名といった安否確認に必要な情報が、そこには正確に記録されています。このリストこそ、混乱の中で初動対応を行う現場スタッフにとって、何より頼りになる「命綱」となるのです。



まとめ:完璧な災害対策より、まず身近な業務フローの見直しから

災害対策というと、どこか壮大で、専門的で、「普段の業務とは別の、特別なこと」と捉えられがちです。しかし、本当に現場で役立つ備えとは、実はこうした日常業務の小さな改善の積み重ねの中にあるのかもしれません。

完璧なBCPを策定することも大切ですが、まずは自院の受付に立ち、面会者の方々が名前を書き込む様子を眺めながら、「この業務フロー、もっと良くならないだろうか?」と考えてみること。その小さな一歩が、結果として災害時に患者さんと、そのご家族、そして私たち自身の安全を守る、最も現実的で効果的な一手になるのだと、私は思います。

何から手をつけていいか分からない、という場合は、一度、多くの医療機関における業務フロー改善の事例に触れてみるのも有効な手段です。自院の課題を整理し、どこからDX化を進められるか、そのヒントが見つかるかもしれません。


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