

はじめに
「また面会時間の問い合わせ電話だ…」「今日も面会者リストの整理からか…」医療現場の最前線で、日々の業務に真摯に取り組まれている中で、ふとこんなため息が漏れることはありませんか? 私自身も、以前病院の受付で、面会手続きに思いのほか時間がかかった経験があり、その裏側でスタッフの方々が多くの調整をされているのだろうなと感じたことがあります。
多くの医療機関では、患者さんとそのご家族にとってかけがえのない時間である「面会」を支えるため、医療スタッフの方々が目に見えないところで多くの時間と労力を費やしているのが現状ではないでしょうか。もちろん、それは患者さん中心の医療を提供する上で非常に大切な業務です。しかし、その方法がもし、少し昔ながらのままで、スタッフの方々の大きな負担になっているとしたら…。
この記事では、従来の面会対応が抱える、つい見過ごされがちな課題を改めて掘り下げてみたいと思います。そして、それらの課題を新しい面会運用の仕組み、例えばオンラインを活用したシステムなどが、どのように解決し、受付や病棟の業務をよりスムーズにしていくのか、具体的な変化を一緒にイメージしながらご紹介していきます。日々の忙しさの中で、「もっとこうなったら良いのに」と感じている医療従事者の皆様にとって、何か新しい気づきや業務改善のヒントが見つかれば幸いです。
なぜ?どうして?見過ごされてきた従来の面会対応の課題
医療現場は常に時間との戦い。そんな中で、従来の面会対応が抱える課題は、日々の忙しさの中に埋もれてしまいがちです。しかし、これらを一つひとつ丁寧に見つめ直すことが、働き方改革や医療DX推進の第一歩になるかもしれません。
1.受付業務の日常:アナログ作業と待ち時間が織りなす疲弊感
まず、病院の顔ともいえる受付業務を想像してみてください。ひっきりなしにかかってくる面会時間や患者さんの状況に関する問い合わせの電話。その合間を縫って、来院された面会者の方へ手書きの面会簿への記入をお願いし、病棟への連絡… 。これらの作業は、一つひとつは小さくても、積み重なると相当な時間と集中力を要するものです。
特に、インフルエンザの流行期や感染症対策が強化される時期など、面会に関するルールが複雑になると、説明や確認にさらに時間がかかり、面会者の方々をお待たせしてしまうことも少なくないでしょう。スタッフの方々は、丁寧な対応を心掛けながらも、内心では「次の電話が鳴る前に…」「他の業務が滞ってしまう…」と焦りを感じているかもしれません。このようなアナログ作業中心の運用は、どうしても人的ミスを誘発しやすく、また、スタッフの疲弊感を増大させる一因となっているのではないでしょうか。多くの医療機関で、事務スタッフが日々の業務の中で特に負担を感じやすいものの一つとして、ひっきりなしにかかってくる電話対応が挙げられることは想像に難くありません。
2.病棟業務への影響:情報共有の壁とケアへの集中阻害
次に、病棟に目を向けてみましょう。受付からの内線連絡で、あるいは直接面会者の方が病棟に到着されて初めて、その日の面会予定を具体的に把握するというケースもまだ多いかもしれません。看護師の方々は、日々の多忙なケア業務の合間に、急な面会時間の変更連絡を受けたり、予定していなかった面会者への対応に追われたりすることもあるでしょう。
「誰が」「いつ」「どの患者さんに」面会に来られるのか。この情報がリアルタイムで、かつ正確に病棟スタッフ間で共有されていないと、いくつかの問題が生じやすくなります。例えば、患者さんの処置やケアの予定時間と面会時間が重なってしまい、どちらかをお待たせしてしまうことになったり 、あるいは、安静が必要な患者さんへの配慮が行き届きにくくなったりする可能性も考えられます。
さらに、セキュリティや感染管理の観点からも、正確な入館者情報を迅速に把握することは非常に重要です。手書きのリストでは、万が一の際の追跡調査にも時間がかかってしまうかもしれません 。看護師の方々が、患者さん一人ひとりに向き合う大切な時間を確保するためにも、面会対応に関する業務負担の軽減と情報共有の円滑化は、実は喫緊の課題と言えるのではないでしょうか。私たちが思う以上に、情報伝達の小さなつまずきが、日々の業務のスムーズな流れを妨げ、ひいてはケアの質にも影響を与えかねないのです。
新しい面会運用で何が変わる?受付・病棟業務の嬉しい変化
では、これらの課題を解決するために、新しい面会運用の仕組み、特にオンラインで面会スケジュールを管理するシステムや入退館管理システムなどを導入すると、受付や病棟の業務は具体的にどのように変わるのでしょうか。ここでは、その嬉しい変化を具体的に見ていきましょう。
1.受付の風景が一変!オンライン化と自動化がもたらす心地よい変化
まず、受付業務における変化は非常に大きなものになることが期待できます。これまで電話や窓口での対応に多くの時間を割かれていた状況が、大きく改善される可能性があります。
電話対応から解放される静けさ: 最大の変化は、電話対応の大幅な削減でしょう。面会を希望する方が、ご自身のPCやスマートフォンから24時間いつでもオンラインで面会日時を登録できるようになれば 、日中の問い合わせ電話は格段に減るはずです。これにより、受付スタッフは、かかってくる電話に神経をすり減らすことなく、他の重要な業務に落ち着いて取り組む時間が増えます。これは、業務効率化はもちろん、スタッフの心理的な負担軽減にも大きく貢献するでしょう。
ペーパーレスでスマートな受付: 面会票への手書き記入や、それをファイルに綴じて保管するといったアナログな作業からも解放されます。オンラインで事前に必要な情報を入力してもらえば 、受付での記入作業は不要になりますし、タブレット端末などを活用したセルフ受付を導入すれば、面会者の方も簡単な操作でスムーズに入館手続きを済ませることが可能です 。まさにペーパーレス化の推進であり、受付スペースもスッキリと整理されるかもしれませんね。
入館証の自動発行でスムーズなご案内: システムと連携した小型プリンターから、入館証や面会証シールが自動で発行されるようになれば 、手渡しの手間が省けるだけでなく、誰が見ても正規の面会者であることが一目で分かります。これにより、院内でのセキュリティ意識の向上や、患者さん・ご家族の安心感にも繋がるでしょう。退館予定時刻などが印字されていれば、面会者自身も時間を意識しやすくなるという副次的な効果も期待できそうです 。
これらの変化は、単に業務が楽になるというだけでなく、受付スタッフが来院者一人ひとりに時間を使えるようになることを意味します。例えば、初めて来院された方に丁寧な案内をする、不安そうな方に寄り添うといった、機械では代替できない温かいコミュニケーションの機会が増えるかもしれません。
2.病棟の連携がスムーズに!リアルタイム情報共有が生み出すケアの質の向上
次に、病棟での業務も大きく変わります。これまで情報伝達のタイムラグや共有漏れによって生じていた様々な問題が、システム化によって解消されることが期待できます。
面会予定を全員で正確に把握: 病棟スタッフは、手元のPCや共有タブレットなどで、その日の面会予定や来院状況をリアルタイムで一覧確認できるようになります 。誰が何時に来院し、どの患者さんと面会するのかが一目瞭然になるため、急な予定変更があっても情報が即座に共有され、対応の遅れや行き違いを防ぐことができます。これにより、看護師の方々は、患者さんのケアプランと面会時間をスムーズに調整できるようになるでしょう。
入退館状況の見える化で安心をプラス: 受付での入館手続きと連動し、面会者の入館・退館時刻が正確にデジタル記録として管理されるようになれば 、病棟スタッフは常に最新の滞在状況を把握できます。これにより、長時間の面会による患者さんの疲労を考慮した適切な声かけや、感染対策上定められた滞在時間の管理などが、より客観的なデータに基づいて行えるようになります。これは、医療安全の観点からも非常に有益だと感じます。
個別の状況に合わせた柔軟な対応も: 優れた面会管理システムの中には、画一的な運用だけでなく、個別の状況に合わせた柔軟な対応をサポートする機能も備わっています。例えば、患者さんの状態や意向によって面会を謝絶したい場合の設定 や、医師の許可のもと頻回な面会や付き添いが必要なご家族に対して、その都度の面会手続きを簡略化できるような「フリーパス」的な機能 などが用意されていることもあります。現場の細かなニーズに応じた運用が可能になることで、より患者さんに寄り添った面会対応が実現できるのではないでしょうか。
これらのシステム的なサポートは、病棟スタッフが日々の記録業務や連絡調整業務に費やす時間を削減し、その分、患者さんとの直接的なコミュニケーションやケアの質の向上により多くのエネルギーを注げるようにすることを後押ししてくれるはずです。

業務効率化だけじゃない、新しい面会運用がもたらす多面的なメリット
ここまで、新しい面会運用の仕組みを導入することによる受付・病棟業務の具体的な変化を見てきました。しかし、そのメリットは単なる業務効率化に留まりません。むしろ、そこから派生する様々なプラスの効果こそが、病院全体の質向上に繋がる重要なポイントと言えるでしょう。
まず、最も大きなメリットの一つは、スタッフの心身の負担軽減と、それに伴う専門業務への集中です。日々の煩雑な作業や、精神的なプレッシャーから解放されることで、スタッフはより創造的で専門性の高い業務に打ち込めるようになります。これは、働きがいやモチベーションの向上にも繋がり、結果として離職率の低下といった効果も期待できるかもしれません。
次に、面会者の方々の満足度向上も忘れてはなりません。オンラインでの簡単な予約、受付での待ち時間の短縮、スムーズな手続きは、面会に来られるご家族やご友人にとって、非常に快適な体験となります。「あの病院は面会がしやすい」という評判は、患者さんやご家族が病院を選ぶ上での一つの安心材料にもなり得ます。
さらに、正確な入退館記録のデジタル化は、院内のセキュリティレベルの向上と感染対策への貢献にも直結します 。いつ誰がどこにいたのかを正確に把握できることは、万が一のインシデント発生時の迅速な追跡調査を可能にし、また、平時からの感染症持ち込みリスクの低減にも繋がるでしょう。
そして最後に、このような面会業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、病院全体のDX推進への確かな一歩となります。比較的身近な業務からデジタル化の成功体験を積み重ねることは、他の業務領域へのDX展開や、組織全体の意識改革を促す上で非常に有効です。小さな改革が、やがて大きな変革の波を生み出すきっかけになるかもしれません。

まとめ:面会対応の見直しから、より良い医療環境づくりを始めませんか?
この記事では、従来の面会対応が抱える課題と、それを新しい面会運用の仕組みがいかに解決し、受付や病棟の業務を改善するかについて、具体的な変化を交えながらご紹介してきました。
面会業務の効率化は、単に「楽になる」ということだけを意味するのではありません。それは、医療スタッフが、日々の忙しさに追われるのではなく、より人間らしいケアや温かいコミュニケーションに貴重な時間を使えるようにするための、大切な環境整備の一環と言えるのではないでしょうか。患者さんやそのご家族との繋がりをより豊かにし、同時にスタッフがいきいきと働ける。そんな医療現場を実現するための一つの手段として、面会運用の見直しは非常に意義深い取り組みだと、私は思います。
「うちの病院でも、何かできることがあるかもしれない」「今のやり方を変えるチャンスかもしれない」そう感じられたご担当者様。まずは、日々の面会業務のあり方をじっくりと見つめ直すことから、新しい病院運営のヒントを探ってみてはいかがでしょうか。そこから、より質の高い医療サービス提供への道が拓けるかもしれません。

Dr.JOY株式会社 スマート面会事業部 カスタマーサクセス
須磨
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