医師の働き方改革が複雑な3つの理由|インターバルと代償休息

2026/10/2

勤怠管理がもっとよくわかる公式パンフレットを配布中!勤怠管理がもっとよくわかる公式パンフレットを配布中!

はじめに

医師の働き方改革とは、医師の時間外労働の上限規制と、勤務間インターバルや代償休息などの健康確保措置を柱に、長時間労働の是正と健康確保を進める取り組みです。この規制は働き方改革関連法に基づくもので、医師には猶予期間が設けられ、2024年4月から特例水準を含む形で適用されています。

一方、規模の大きな病院の労務管理ご担当者様からは、「制度が複雑」「運用に落とし込むのが難しい」というお声がよく聞かれます。夜勤や当直、オンコール対応が組み合わさり、シフトを組むだけでも一苦労という状況ではないでしょうか。

本記事では、医療現場で働く私たちの一助となるよう、医師の働き方改革が複雑になる3つの理由と、勤務間インターバル制度・代償休息の実務ポイントを整理して解説します。

【この記事の重要ポイント】

・制度が複雑になったのは、特例水準(A・B・C)による手続きの違い、多層的なルール、診療科をまたぐシフト調整の難しさという3つの点からです。

・基本ルールとして、勤務間には9〜18時間の休息(勤務間インターバル)を確保する必要があります。もし確保できなかった場合は、翌月末までに代償休息を付与することがB・C水準において義務付けられています。


1.医師の働き方改革はなぜ複雑なのか?3つの理由

複雑に感じられる主な理由は、特例水準と手続きの区分、複数の制度が重なる多層構造、そして規模の大きな病院ならではのシフト調整の難しさにあると考えられます。

医師の働き方改革が複雑な3つの理由

1-1.理由①:特例水準(A・B・C)ごとに上限と手続きが異なる

医師については患者の生命を預かるという特殊性から、一般労働者とは異なる特例措置が整備されています。水準ごとの上限は次のとおりです。

水準

時間外・休日労働の上限

適用の前提

A水準(原則)

月100時間未満・年960時間以下

―

B・連携B・C水準(特例)

年1,860時間以下

地域医療の確保や研修・高度技能の習得を目的とし、都道府県の指定と「医師労働時間短縮計画」の作成が必要

厚生労働省の報告書(※1)には長時間労働の是正方策が示されていますが、こうした水準区分や各種手続きが加わったことで制度が複雑化し、現場の先生方やスタッフへ理解が浸透しきれていない部分もあるかもしれません。

1-2.理由②:時間外労働の上限と「追加的健康確保措置」が重なっている

時間外労働の上限規制に加えて、連続勤務時間制限、勤務間インターバル制度、代償休息といった追加的健康確保措置が重なる多層構造になっています。

さらに、医療安全を担保するための独自ガイドラインや学会からの提言もあり、最新情報を追いながら運用ルールを構築することが、ご担当者様にとって大きなご負担になっているのではないでしょうか。

1-3.理由③:大規模病院では当直・オンコールを含むシフト調整が難しい

診療科が多い大規模病院では、夜間・休日の当直やオンコールが重なりやすく、手術件数や外来患者数も異なるため、一律のシフトを組むことが困難です。

加えて、高度医療を提供する病院では研究や研修の時間の確保も必要であり、単純に勤務時間を短縮するだけでは対応が難しいのが実情かと思います。


2.勤務間インターバルと代償休息の基本ルール:何時間の休息が必要?

この2つの制度は、医師の水準や勤務の種類によって適用ルールが変わるため、少し整理しておきましょう。

2-1.【水準別】追加的健康確保措置の義務・努力義務

時間外労働の水準に応じて、法的な義務となるか努力義務にとどまるかが分かれます。

項目

A水準

B・連携B・C水準

連続勤務時間制限・勤務間インターバル

努力義務

義務

代償休息

努力義務

義務

2-2.勤務間インターバル制度とは?勤務の種類ごとの休息ルール

勤務終了から次の勤務開始までに一定の休息時間を設け、疲労を翌日に持ち越さないための仕組みです。事前にシフト表等で予定しておくことが原則とされており、基本ルールは次のようになっています(※2,※3)。

勤務の種類

連続勤務時間の上限

確保する休息時間(インターバル)

通常の日勤・宿日直許可のある宿日直

15時間

始業から24時間以内に9時間の連続した休息

宿日直許可のない宿日直

28時間

業務開始から46時間以内に18時間の連続した休息

※始業が午前8時の場合、通常日勤なら23時まで、許可のない宿日直を含む場合は翌日12時までが連続勤務の上限となります。

※なお、C-1水準の臨床研修医にはこれとは別のルールが定められています。

2-3.代償休息とは?付与方法と期限のルール

急患対応や長時間手術など、やむを得ない事情でインターバルを確保できなかった場合に、事後的に休息を補い疲労回復を図るための措置です。(例:9時間の休息予定が急患対応で8時間になった場合、不足する1時間分が代償休息の対象となります)

  • 付与方法: 所定労働時間中の時間休の付与、または勤務間インターバル幅の延長のいずれか。

  • 付与期限: 対象となる勤務が発生した日の属する月の翌月末まで(できるだけ早期が望ましいとされています)。

  • 長時間の手術の場合: 連続15時間を超える対応が予定される業務では、代償休息の付与を前提としたシフトを組み、当該業務の終了後すぐに付与する取り扱いとなっています。

医師の働き方改革における連続勤務時間制限をシフト作成段階で自動チェックするシステム


3.勤務間インターバルと代償休息を運用する3つの実務ポイント

3-1.就業規則を見直し、院内に周知する

まずは厚生労働省の資料などを参考に、以下の項目を就業規則・院内規定に落とし込み、全体で統一していくことが大切です。

規定を整えた後は、説明会を通じて医師や看護師の皆さまに制度の目的をご理解いただき、協力体制を築くことがスムーズな運用の鍵となります。

  • インターバルと代償休息の定義・対象者

  • 当直・オンコールの運用方法 / 夜勤明けのシフトの組み方

  • 代償休息の付与方法と期限

3-2.診療科をまたいで人員配置とシフトを見直す

特定の診療科に負担が集中しないよう、シフト編成そのものを再検討してみてはいかがでしょうか。

  • 当直翌日の手術担当を別の医師へ引き継ぐ(タスクシェア)。

  • 連続勤務時間が長い医師を優先的に代償休息へ回す。

  • 院内の各部署で連携し、診療科をまたいだ応援体制を整える。

3-3.ICTで連続勤務と休息を可視化する

大規模病院において、Excelや手作業で代償休息を追跡・管理すると、どうしてもミスや重複が発生しやすくなります。

連続勤務時間の把握や代償休息の自動判定を行えるICT(情報通信技術)の活用は、担当者様の負担を減らし、運用漏れを防ぐための心強いサポートになるはずです。

医師の働き方改革で義務化される勤務間インターバルや代償休息の管理に役立つ医療DXツール


4.Dr.JOY「代償休息管理」で複雑なルールを自動化

紙やExcelでは、月末の集計時期になるまで「誰のインターバルが不足しているか」に気づきにくいという課題があります。 こうした管理を手助けする仕組みとして、Dr.JOYの「代償休息管理」を用いた運用例を簡単にご紹介します。

Dr.JOY「代償休息管理」で複雑なルールを自動化

4-1.水準設定と、兼業・副業の通算管理

  • 特例水準の指定: B・C水準のみ、あるいはA水準を含めるなど、病院の方針に合わせて管理対象を設定できます。

  • 兼業・副業の通算: 自院だけでなく、他院での勤務時間も合算して管理することが可能です。

4-2.不足分の自動付与とアラート機能

  • エラーブロック: 予定登録時、インターバルが足りないシフトは保存できない仕組みです。意図しないルール違反を防ぎます。

  • 自動付与と通知: 勤務を承認する際、インターバル不足があれば代償休息を自動で付与し、画面のポップアップでお知らせします。

  • 取得リマインド: 翌月末の取得期限が近づくと、管理者と対象の医師へメールで通知します。

  • CSV出力: 代償休息の発生・消化状況はすぐにデータ出力できます。立入検査の帳票作成にも役立ちます。

実際の画面イメージなど、さらに詳しい機能についてはDr.JOY「代償休息管理」ページをご参照ください。


5.まとめ

医師の働き方改革が複雑に感じられる背景には、特例水準の区分、多層的な制度構造、そして大規模病院ならではの勤務形態があります。B・C水準では義務となる勤務間インターバルと代償休息を無理なく運用するには、就業規則の整備やシフトの見直しと併せて、ICTによるリアルタイムな管理体制づくりが欠かせない要素となります。

現場の負担を少しでも減らしながら医療の質と医師の健康を守るために、Dr.JOYのような専用システムを一つの選択肢としてご検討してみてはいかがでしょうか。


6.よくあるご質問(FAQ)

Q1:医師が他の病院でアルバイト(兼業・副業)をしている場合、インターバルの計算はどうなりますか?

A1:原則として、主務先の病院とアルバイト先での勤務時間は合算して管理することが求められています。しかし、ご自身や担当者様の手作業で全ての勤務時間を把握・調整するのは負担が大きすぎます。

そのため、兼業先の勤務データも一元管理できるクラウド勤怠システムなどを取り入れていただくと、計算や連絡の手間が省け、無理のないスケジュール管理がしやすくなります。

Q2:勤務間インターバルや代償休息のルールを守れなかった場合、病院側に罰則はあるのでしょうか?

A2:対象となる水準によって「義務」と「努力義務」の違いはありますが、ルール違反が常態化してしまうと労働基準監督署からの指導対象になるリスクが考えられます。

罰則の有無にかかわらず、医師が心身ともに安心して働ける環境づくりは、病院の信頼や採用力にも直結します。まずはICTツールで「現状の不足分」を可視化し、可能な範囲から少しずつシフト体制を見直していくのがおすすめです。

Q3:労働時間が短くなることで、医師の収入が減ってしまう懸念はありませんか?

A3:時間外労働が制限されるため、当直や残業代の割合が大きかった場合は収入に影響が出る可能性があります。

これを機に、医師にしかできない業務以外を看護師や事務職へ移行(タスクシフト)して生産性を高めたり、病院側で基本給の見直しを検討したりと、働きやすさと生活のバランスを保つための新しい仕組みづくりを模索していく時期に来ていると言えるでしょう。


7.参考資料

(※1)厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会 報告書」(平成31年3月)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04273.html

(※2)厚生労働省 第13回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 資料1「追加的健康確保措置(連続勤務時間制限・勤務間インターバル規制等)の運用について」(令和3年8月4日)

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000806367.pdf

(※3)厚生労働省「医師の健康を守る働き方の新ルール」(勤務間インターバル・代償休息の基本ルール)

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001145301.pdf

Dr.JOYの勤怠管理のご紹介

医師の働き方改革に対応!
医療業界に特化した勤怠管理システム

この記事をシェアする

ホーム医師の働き方改革

医師の働き方改革が複雑な3つの理由|イン...