- はじめに
- 1. ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは?普及率と背景
- 1.1. ジェネリック医薬品の定義と役割
- 1.2. 日本国内の普及率と厚生労働省の目標
- 1.3. なぜ国はジェネリック医薬品を推進するのか?
- 2. 先発医薬品からジェネリックへ置き換えるメリットとデメリット
- 3. 選定療養制度とは?2026年6月の変更点も解説
- 4. 医療現場での混乱を防ぐには?置き換え時の情報共有ルールと手順
- 4.1. 医師・薬剤師・看護師間の連携プロセス
- 4.2. 患者への適切なコミュニケーションと服薬指導
- 5. 高額薬剤「バイオシミラー」への広がりと情報管理の壁
- 5.1. バイオシミラー(バイオ後続品)の定義と現状
- 5.2. バイオシミラーが注目される理由と普及の壁
- 5.3. オーソライズド・ジェネリック(AG)という選択肢
- 6. まとめ
- 7. よくある質問(FAQ)
- 8. 参考資料
はじめに
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発医薬品(新薬)の特許期間が満了した後に、同じ有効成分・同じ効能効果で製造・販売される医薬品です。日本の医療提供体制では高齢化に伴う医療費の増大が深刻な課題となっており、その解決策の一つとして、厚生労働省はジェネリック医薬品の数量シェア拡大を目標に掲げ、普及を推進してきました。
一方で、医療現場では先発医薬品からジェネリック医薬品への置き換えが進む過程で、院内での情報共有が追いつかず、患者側に不安や不信感が生じてしまうケースも少なくありません。
この記事では、ジェネリック医薬品およびバイオシミラーの最新事情、そして医療機関向けの効率的な情報管理手法について、5つのポイントに整理して解説します。
1. ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは?普及率と背景
1.1. ジェネリック医薬品の定義と役割
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発医薬品の特許が切れた後に、同一の有効成分・効能効果で製造・販売される医薬品を指します。
新しいお薬を作るには10年以上と莫大な費用がかかりますが、ジェネリックはすでに安全性が確認された成分を使うため、開発期間もコストもグッと抑えられるという特徴があります。
1.2. 日本国内の普及率と厚生労働省の目標

厚生労働省は「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」などを通じて、医療機関や薬局に対する診療報酬上の評価(後発医薬品使用体制加算など)を行い、ジェネリック医薬品の普及を後押ししてきました。
現状:国内の数量シェアは全国平均でおおむね80%前後の水準
数量シェアの目標:2029年度末までに全都道府県で80%以上
その他の目標:金額シェアやバイオシミラーの普及率についても新たな目標値が設定されている
こうした施策の積み重ねにより、かつて「安かろう悪かろう」といった見方をされがちだったジェネリック医薬品も、現在では一般的な選択肢として定着していると言えます。
1.3. なぜ国はジェネリック医薬品を推進するのか?
国がジェネリック医薬品の利用を推進する主な理由として、以下の3点が挙げられます。
医療保険財政の安定化
薬剤費の総額を抑え、国民皆保険制度を将来にわたって維持しやすくします。
患者の自己負担軽減
同じ有効成分・効能効果でありながら価格が抑えられているため、患者の窓口負担を直接的に軽減できます。
限られた医療資源の有効活用
医療費の抑制分を、新薬開発や医療提供体制の充実など、他の重要な分野へ振り向けることが可能になります。
2. 先発医薬品からジェネリックへ置き換えるメリットとデメリット
患者さんにとっても、医療機関にとっても、ジェネリックへの変更には良い面がある一方で、少し気をつけたいポイントもあります。分かりやすく表にまとめてみました。
立場 | メリット | デメリット・留意点 | |
患者さん | お薬代(自己負担額)が安くなる | 効き目や副作用に漠然とした不安を感じやすい | 薬の見た目や味が変わって戸惑うことがある |
医療現場 | 診療報酬の加算対象になる場合がある | 扱う種類が増えて在庫管理が大変になる | 薬が品薄になった時の対応に追われる |
3. 選定療養制度とは?2026年6月の変更点も解説
『選定療養制度』とは、患者が自ら希望して選ぶ保険外のサービスについて、保険診療との併用が認められている仕組みです。
2024年10月より、ジェネリック医薬品があるにもかかわらず、医療上の必要性がない理由で患者が先発医薬品を希望した場合、先発医薬品とジェネリック医薬品の価格差の一部を患者が「特別の料金」として自己負担する仕組みが導入されました。
【選定療養費の仕組みと2026年6月以降の変更点】
対象外となるケース: 医師が「医療上の必要がある」と判断した場合や、薬局にジェネリック医薬品の在庫がない場合は、特別料金は発生しません。
2024年10月〜2026年5月まで: 価格差の「4分の1相当」が特別料金として追加負担とされていました。
2026年6月以降: この割合が「価格差の2分の1相当」に引き上げられました。
この制度の変更に伴い、医療現場では患者に対して、これまで以上に丁寧かつ正確な説明が求められています。
4. 医療現場での混乱を防ぐには?置き換え時の情報共有ルールと手順
ジェネリック医薬品へ切り替える際、医療現場で最も避けたいのは「情報伝達の漏れ」による患者の混乱や誤薬です。
安全に置き換えを進めるためのプロセスを整理します。
4.1. 医師・薬剤師・看護師間の連携プロセス
院内でのスムーズな切り替えには、次のような手順での連携が推奨されます。
① 処方時の確認・情報共有
医師が処方時にジェネリックへの変更可否を確認し、電子カルテやシステム上で薬剤師・看護師と情報を共有する。
② 調剤時のチェックと説明
薬剤師が銘柄変更の有無や在庫状況を確認したうえで、患者へ具体的な説明を行う。
③ 服薬状況のモニタリングとフィードバック
看護師が服薬後の患者の様子を観察し、疑問や不安があれば医師・薬剤師へ共有する。
4.2. 患者への適切なコミュニケーションと服薬指導
患者への説明では、「単に価格が安いから」という理由だけでなく、安全性や有効性が国によって確認されていることを客観的に伝えることが重要とされています。
また、「お薬の名前が変わりますが、効果は同じです」「飲みやすくなるように工夫されています」といった具体的な情報を提示することで、患者の不安を和らげやすくなります。

5. 高額薬剤「バイオシミラー」への広がりと情報管理の壁
ジェネリック医薬品の考え方は、一般的な飲み薬(低分子医薬品)だけでなく、がんやリウマチなどの治療に使われる複雑で高額な「バイオ医薬品」の領域にも広がっています。
5.1. バイオシミラー(バイオ後続品)の定義と現状
バイオシミラー(バイオ後続品)は、特許が切れた先行バイオ医薬品と同等の有効性・安全性を備えた医薬品として位置づけられています。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)の承認品目一覧によると、2026年時点でインフリキシマブやリツキシマブ、トラスツズマブなど、すでに40品目を超えるバイオシミラーが承認され、臨床現場で使用されています。
5.2. バイオシミラーが注目される理由と普及の壁
バイオ医薬品は、がんやリウマチなどの治療に高い効果を発揮する反面、細胞培養などの高度な技術が必要なため薬価が非常に高額になりがちです。
バイオシミラーの活用は、患者の高額療養費制度における負担や医療保険財政への圧迫を軽減する手段として期待されています。
一方で、バイオシミラーは分子構造が複雑であり、先行品と「完全に同一」ではなく「同等」であるという特性上、医師の慎重な判断が求められることや、臨床データの蓄積が十分でないとみなされるケースがあり、一般的なジェネリック医薬品に比べて普及のスピードが緩やかであるという課題が指摘されています。
5.3. オーソライズド・ジェネリック(AG)という選択肢
患者の不安を和らげるためのもう一つの選択肢として、「オーソライズド・ジェネリック」があります。これは、先発医薬品を製造・販売する製薬企業から許諾(オーソライズ)を受けて製造されるジェネリック医薬品を指します。
通常のジェネリック医薬品が有効成分のみ同じであるのに対し、AGは原薬、添加物、製造方法、さらには製造工場までも先発医薬品と同一であることが多いのが特徴です。
そのため、「薬の味が変わるのが嫌だ」「全く同じでないと不安だ」という患者に対しても提案しやすく、スムーズな切り替えを促進する手段の一つとなっています。

6. まとめ
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同等の有効性・安全性が確認されたうえで承認されており、患者の自己負担軽減にもつながります。ただし2026年6月からは、先発医薬品を希望した場合の追加負担が価格差の2分の1相当に引き上げられました。
安心して置き換えを進めるには、制度の内容を正しく理解し、院内で医師・薬剤師・看護師が情報を共有できる体制を整えることが欠かせません。
7. よくある質問(FAQ)
Q1: ジェネリック医薬品の添加物は、先発医薬品と完全に同じですか?
A1: ジェネリック医薬品の添加物は、先発医薬品と異なる場合があります。
ただし、使用される添加物は日本薬局方などで安全性が確認された成分に限られており、有効成分の吸収や効能に影響を与えないよう厳格な試験(生物学的同等性試験など)をクリアした医薬品のみが国から承認されています。
Q2: ジェネリック医薬品への変更を患者が途中でやめる(先発医薬品に戻す)ことは可能ですか?
A2: はい、可能とされています。服用してみて体質に合わないと感じたり不安がある場合は、次回の処方時や調剤時に医師または薬剤師へ相談することで、先発医薬品に戻せる場合があります。
ただし、その場合は選定療養費の対象となる可能性があるため、事前に医療機関へ確認しておくと安心です。
Q3: 薬の出荷調整(供給不足)でジェネリック医薬品が手に入らない場合、患者の負担はどうなりますか?
A3: 薬局にジェネリック医薬品の在庫がなく、やむを得ず先発医薬品を調剤する場合は、ジェネリック医薬品の提供が困難なケースとして、特別の料金の対象外となります。
このケースでは、選定療養における特別料金(2026年6月以降は価格差の2分の1相当)の対象外となり、通常の保険割合での支払いとなります。
8. 参考資料
厚生労働省:ジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用促進について
https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/001310035.pdf
厚生労働省:後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html
医薬品医療機器総合機構(PMDA):バイオ後続品の承認品目一覧
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/p-drugs/0034.html

Dr.JOY株式会社DS事業部 カスタマーサクセス
長友
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