はじめに
近年、「Z世代」という言葉を耳にする機会が増えています。Z世代とは一般的に1990年代後半から2000年代前半に生まれた人々を指し、いわゆるスマホ世代・SNS世代とも呼ばれる存在です。デジタルリテラシーを活かした新しいコミュニケーションスタイルが注目されています。医療現場にも少しずつZ世代が増え始め、厚生労働省の2022年の統計によると、29歳以下の薬剤師は全体の約12%程度とされています。
Z世代の薬剤師が持つデジタルリテラシーの特徴を探りつつ、従来型の「報告・連絡・相談」をどのようにアップデートすれば、業務の効率向上につながるのかを考えていきたいと思います。個人的には、Z世代ならではの軽快なやりとりは非常に魅力的だと感じますが、一方で世代間ギャップから生じる悩みもあるのではないでしょうか。そうした実情を踏まえ、具体的なツール活用例やコミュニケーションのコツを交えながら解説します。
Z世代薬剤師のデジタルリテラシーとは
1. スマホ世代ならではの強み
Z世代薬剤師の大きな特徴は「スマホネイティブ」であることです。幼い頃からインターネットやスマートフォンが身近にあり、SNSやチャットアプリを通じたコミュニケーションに慣れ親しんでいます。LINEやTwitter、Instagramを日常的に使いこなすだけでなく、必要とあれば新しいツールやアプリを学ぶのにも抵抗が少ないのが強みです。
業務上のコミュニケーションや情報共有の場面でも、デジタルツールを素早く取り入れ、効率的に使う姿がしばしば見られます。例えば、新しい会議アプリやクラウドツールの導入時には迷わず使い始めたり、SNSの感覚で同僚や先輩にこまめにメッセージを送ったりします。こうした積極性が職場全体の情報伝達スピードを押し上げることも少なくありません。
2. コミュニケーションに対する価値観
Z世代のコミュニケーションで特筆すべきなのは「短文・スピード重視」である点です。複雑な長文メールよりも、手軽に送れるチャットのほうが性に合うと感じる人が多いようです。そのため、報告・連絡・相談のどれをとっても、LINEやSlackなどのツールを使ってササッと伝えるスタイルが好まれます。
また、オンラインとオフラインを柔軟に使い分ける傾向も見られます。職場で直接話したほうが早いと感じれば対面での相談を選び、逆にちょっとした確認はテキストメッセージで済ませるなど、状況によって切り替えるのです。こうしたハイブリッドな使い方は、忙しい医療現場において時間的ロスを減らす意味でも有用でしょう。
報連相をアップデートするポイント
医療の現場では、今も昔も「報連相」が基本とされています。患者さんの状態を正確に上司や先輩に報告し、必要な情報を関連スタッフに連絡し、判断に迷うことがあれば相談する。この一連の流れがうまく機能しないと、医療安全の観点から大きなリスクが生まれます。一方で、従来型の報連相には「タイミングが遅れやすい」「忙しさで報連相が不足しがち」などの課題が指摘されてきました。そこで、Z世代ならではの強みを活かして報連相をアップデートするポイントを考えてみましょう。
1. 報告のアップデート
報告と聞くと、まず紙ベースの報告書や日報の提出を連想するかもしれません。しかし、Z世代はPCやスマホから簡単に情報共有ができることを当たり前と感じています。例えば、業務中に気づいた疑義や患者さんからの問い合わせがあれば、チャットツールで素早く報告し、後から必要な情報を整理して正式な文書に落とし込むというフローが考えられます。
この「チャットでの即時報告→後日正式化」というやり方は、忙しい現場の中でもミスを減らし、対応の遅れを防ぎやすいのがメリットです。ただし、常にチャットをチェックできるとは限りませんので、既読状況や通知設定など、基本的なルールづくりをしておくと安心です。
2. 連絡のアップデート
連絡は、職場内での情報共有や引き継ぎ、シフト変更など多岐にわたります。従来はメール一斉送信や口頭連絡が主流でしたが、Z世代薬剤師にとってはチャットのほうが断然速くて便利です。しかも、既読表示によって相手がメッセージを確認したかどうかがひと目でわかるので、メール特有の「届いているか不安…」というストレスが減ります。
さらに、連絡内容をスレッド化しておけば後から検索・確認するのも容易です。医薬品の在庫連絡や問い合わせ対応など、繰り返し発生する業務ほどチャットとの相性が良いと感じます。ただし、あまりに気軽にメッセージを送ると、相手がそれに追われる形になるリスクもあるため、どの範囲までチャットで対応するかの線引きは必要でしょう。
3. 相談のアップデート
患者対応で迷ったときや調剤で疑問点が生じたときなど、専門的な判断が求められる場面は少なくありません。Z世代薬剤師の場合、ちょっとした疑問をチャットで投げかけて気軽に相談することが得意な人が多い印象です。ハードルが下がることで、「聞くのが遅れて取り返しがつかない」事態を防ぎやすくなります。
一方、薬剤師としての仕事は対面で患者と向き合う機会が多いため、突発的な相談には直接上司を呼んだり、急ぎの連絡を電話で行ったりといった、即時性の高い手段も使い分ける必要があります。Z世代薬剤師のスマホスキルはこうした場面でも力を発揮しますが、あくまでチーム医療の一員であることを踏まえ、緊急性や重要度が高い相談内容を埋もれさせないための運用ルールを設定する必要があるかもしれません。
デジタルツール導入で業務効率を高める具体策
1. チャットツールの活用例
医療現場で一般的に導入が進んでいるチャットツールとしては、LINE、Slack、Microsoft Teamsなどが挙げられます。LINEはプライベートでも使われており、直感的に操作できるため導入ハードルが低い反面、プライベートと業務利用の境目が曖昧になるリスクがあります。また、個人情報の取り扱いが厳格に求められる医療分野では、情報セキュリティに配慮した使い方が不可欠です。2023年の厚生労働省ガイドライン(第6.0版)では、一般向けSNSの利用には特に注意が必要とされています。業務利用する場合は、ビジネス版や医療専用チャットツールなど、暗号化やアクセス制御が担保されたサービスを選ぶ必要があります。
SlackやMicrosoft Teamsなどは、業務利用を前提としているため、チャネルやスレッドの管理がしやすく、ファイル共有にも長けています。ただし、初めて使う人にとっては操作やカスタマイズに戸惑うこともあるため、簡単な研修が必要になるかもしれません。
いずれにしても、ツールを使いこなすためには「どこまでチャットで共有して、どこからは正式な書類化が必要か」といったルール設定が重要です。全員が一定のルールを理解することで、やり取りがスムーズになり、不要なトラブルを防ぎます。
2. 業務支援システム・クラウド活用
調剤薬局や病院の薬剤部では、さまざまな業務支援システムが導入されています。電子カルテや在庫管理システムに加え、クラウドベースのスケジュール管理やタスク管理ツールなどを組み合わせれば、業務全体の見える化が進みます。
例えば、患者さんごとの投薬履歴や疑義照会履歴をクラウドで共有しておけば、リアルタイムに進捗を確認しながら効率よく業務分担ができます。また、スマートフォンからでもシステムにアクセスできる設計にしておけば、病棟ラウンド中でも必要な情報を引き出せるため、タイムロスの削減につながります。
さらに、医療機関向けに特化したコミュニケーションプラットフォームの導入もオススメです。たとえば、Dr.JOYは医療スタッフ間の連携を円滑にするための機能を備えており、チャットや業務連絡に加えてスケジュールの管理や情報共有など、日常業務を効率化する仕組みが充実しています。操作も直感的なため、最小限の研修で使いこなせるのではないでしょうか。

世代間コミュニケーションを円滑にするコツ
ジェネレーションギャップを埋める工夫
Z世代の薬剤師が増える一方で、現場にはベテランの薬剤師や他の世代のスタッフも多数在籍しています。世代によって得意なコミュニケーション方法は違うため、ギャップを埋める工夫が必要です。
例えば、チャットでのやり取りに慣れていないベテラン職員に対しては、まず短い操作説明やチーム内ルールの案内を簡潔にまとめた資料を配布すると良いかもしれません。その上で、質問や疑問点があればZ世代薬剤師が“サポーター”として対応し、導入期をサポートします。
まとめ
Z世代薬剤師のデジタルリテラシーは、医療現場のコミュニケーションを大きく変革する可能性を秘めています。報連相の“当たり前”を見直し、チャットやクラウドツールなど、スマホ世代ならではの即応性や柔軟性を活かすことで、業務の効率アップや情報共有の高速化が期待できるでしょう。
一方で、世代間のコミュニケーションギャップや情報セキュリティのリスクなど、注意点も少なくありません。ツール導入の際は、全員がメリットを享受できるようにルールや教育体制を整備することが不可欠です。Z世代だからこそ得意分野を伸ばしつつ、ベテラン世代の知見も取り入れて協力することで、チーム全体の業務レベルが底上げされると考えられます。
効率的なコミュニケーション手法や業務支援システムの導入を検討する際は、実際の導入事例やサービス機能を参考にしてみてはいかがでしょうか。さまざまなソリューションの中には、上記で触れたDr.JOYのように医療現場のニーズに合わせて進化を続けるものもあります。ニーズに合ったツールを選択し、より充実した医療サービスを目指しましょう。
医療の世界にも新しい風が吹き込まれていると感じます。この機会に、報連相のアップデートを始めとしたコミュニケーション改革に取り組んでみてはいかがでしょうか。業務効率の向上と世代間の相互理解が進み、患者さんにとっても安心で頼もしい医療環境が整っていくことを願っています。

Dr.JOY株式会社DS事業部 カスタマーサクセス
長友
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