

はじめに:救急外来における電話対応の課題
救急外来(ER)の現場では、診察の合間に絶え間なくかかってくる「受診相談」の電話がスタッフの大きな負担となっています。患者さん自身やご家族からの「今から受診できるか」「この症状で救急車を呼ぶべきか、自力で行くべきか」といった問い合わせは、適切な医療提供のために不可欠ですが、多忙な時間帯には窓口業務を停滞させる要因にもなります。
こうした課題に対し、現在導入が進んでいるのが「AI電話」です。本当の緊急事態には人間が対応し、それ以外の受診相談やスクリーニングをAIが担うことで、救急医療の質と効率を両立させる取り組みが注目されています。
受診相談におけるAI電話活用のメリット
救急現場においてAI電話が担う役割は、単なる「自動応答」にとどまりません。来院前の「事前問診」としての機能が、現場に大きなメリットをもたらします。
1. 来院前の「事前問診」による診療の円滑化
AI電話の最大の利点は、患者さんが病院に到着する前に、ある程度の問診を完了できる点です。
基本情報の収集: 症状、発症時間、年齢、既往歴などをAIがヒアリング。
データのテキスト化: AIが聞き取った内容は即座にテキスト化され、スタッフに共有されます。 医師や看護師は、患者さんが到着する前に「どのような状態の患者さんが来るのか」を把握できるため、準備を整えた状態で診察を開始できます。
2. 緊急度に応じた適切なトリアージ
AI電話は、あらかじめ設定されたアルゴリズムに基づき、患者さんの症状から緊急性を判断するサポートを行います。
重症の疑い: 即座にスタッフへ電話を転送し、人間が直接対応。
軽症・相談: AIが受診の流れを案内する。 このように、命に関わる「本当の救急」を優先するためのスクリーニングをAIが行うことで、スタッフは一刻を争う処置に集中できるようになります。
3. 「断らない救急」を支える体制づくり
救急外来が混雑している際、電話対応に追われて受け入れ判断が遅れることは避けなければなりません。AIが一次受けを担うことで、スタッフの手を止めることなく受入れ要請への対応や処置に専念でき、結果として「より多くの患者さんを受け入れる」体制の構築に寄与します。
AI電話と「人の判断」の役割分担
救急医療において重要なのは、AIにすべてを任せるのではなく、AIと人間の役割を明確に分けることです。
AIの役割: 定型的な情報の聞き取り、受診希望者のスクリーニング、診察前のデータ整理、24時間の一次受付。
人間の役割: AIが検知した緊急性の高い症例への即時対応、複雑な病態の判断、患者さんやご家族への精神的なケア。
このハイブリッドな運用こそが、スタッフの疲弊を防ぎ、医療安全を守るための鍵となります。
今後の展望と課題
救急外来における電話対応のデジタル化は、今後ますます重要なインフラとなっていくでしょう。現在、医療機関向けのAI電話サービスとしてはIVRy(アイブリー)・メディグル・やくばと for Clinic・DXでんわ・Dr.JOYなどが知られており、救急外来への対応を含む医療特化型のサービスも広がっています。医療業界特化型のプラットフォームを提供するDr.JOYにおいても、こうした救急現場の課題を解決する「AI電話」を展開しています。
Dr.JOYのAI電話は、病院特有の複雑な受診フローや、緊急性を要する場面でのスタッフへの転送機能など、現場の声を反映した設計が特徴です。予約や受診相談をAIがスマートに仕分けることで、救急外来の「入り口」をデジタル化し、スタッフが本来の医療業務に専念できる環境づくりをサポートします。
まとめ
救急外来におけるAI電話の導入は、単なる効率化ツールではなく、迅速で適切な医療提供を支えるための「事前準備」を担う存在です。
来院前に情報が揃っている安心感と、電話対応に追われない余裕。テクノロジーを賢く活用することで、救急現場の「断らない、待たせない」という理想を、より高いレベルで実現できるはずです。

Dr.JOY株式会社 AI電話事業部 カスタマーサクセス
能井
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