

はじめに:薬薬連携の大切さと現場の悩み
病院で処方された薬が、調剤薬局を通じて患者さんの手に届くまでには、いくつもの確認作業があります。その中で欠かせないのが、病院の薬剤部と調剤薬局とのやり取り、いわゆる「薬薬連携」です。
特に処方内容に疑問があるときや注意が必要なときに行われる「疑義照会」は、患者さんに安全に薬を届けるための最後の砦といえるでしょう。実際、日本薬剤師会の調査では、院外処方せんの約2.56%で疑義照会が行われ、その約75%で処方内容が変更されました。
一方で現場からは「薬剤師が外来対応で忙しく、電話にすぐ出られない」「折り返しが遅れて患者さんをお待たせしてしまう」といった声も多く、改善が求められています。
「30分以内折り返し」運用が求められる背景 ― 患者安全への影響
疑義照会の対応が遅れてしまうと、患者さんの服薬開始が遅れたり、確認が不十分なまま薬が渡ってしまうリスクが生じます。
そのため一部の医療機関では独自に「疑義照会や報告に対して30分以内に折り返す」という運用ルールを設けています。
例えば、小山記念病院様の薬剤部では、調剤薬局からの問い合わせに対して30分以内に必ず折り返す仕組みを取り入れています。この取り組みにより、薬局側には「確実に対応してもらえる」という安心感が生まれ、患者さんへの説明や投薬を滞りなく進められるようになりました。
AI電話による解決策 ― 疑義照会・報告をスムーズに
従来の電話対応では、薬剤師が手を離せず折り返しが遅れたり、伝言の行き違いが起きることもありました。
そこで注目されているのが「AI電話」です。AI電話は薬局からの疑義照会や報告を24時間365日一次受けし、内容を録音・文字化して薬剤部に共有します。薬剤師は手が空いたタイミングで内容を確認し、必要に応じて折り返し連絡が可能です。
事例紹介:小山記念病院様の薬剤部の取り組み
同院ではAI電話を活用し、調剤薬局からの連絡を一次受けしたうえで、薬剤師が「30分以内に折り返す」独自ルールを運用しています。
これにより薬局は「確実に折り返しがある」と安心でき、患者さんへの対応も滞りなく進められるようになりました。薬剤部側でも、鳴り続ける電話に追われることなく業務に集中できる環境が整い、双方にとって大きなメリットが得られています。
周辺薬局を巻き込むネットワーク化 ― 仕組みづくりのポイント
さらに同院では、周辺の薬局を対象にAI電話ネットワークを広げる取り組みを進めています。参加薬局をリスト化し、「30分以内に折り返す」という共通ルールを徹底することで、ネットワーク参加薬局に限りスムーズな薬薬連携が実現しました。
この仕組みにより、参加薬局であれば同じ水準の対応を受けられるようになり、結果として地域全体の医療の質を底上げする効果が得られています。
導入効果とこれからの展望
AI電話の導入によって、疑義照会への対応スピードが向上し、患者さんの待ち時間短縮と安全性向上が両立しました。薬剤師にとっても業務中断が減り、負担軽減につながっています。
今後はAIが内容を自動で優先度分類できるようになれば、さらに迅速な対応が可能になると期待されています。実際に、小山記念病院様では緊急度の高い連絡を優先的に確認できる仕組みが稼働しており、今後は在宅医療や介護施設との連携にも応用できる可能性があります。地域包括ケアを支えるツールとしての広がりが期待されます。
おわりに:DXが支える新しい薬薬連携
「30分以内折り返し」運用は、患者さんに安全に薬を届けるための取り組みであり、医療現場の信頼を支える仕組みです。
AI電話というデジタル技術による業務変革(DX)を活用することで、その実現がぐっと近づいています。薬剤部と薬局の連携が強固になることで、患者さんが安心して薬を受け取れる環境が整い、地域全体に安全で質の高い医療が広がっていくことが期待されます。

なお、AI電話の薬剤部・薬局活用にご興味のある方は、こちらのウェビナー動画もご覧ください。

Dr.JOY株式会社 AI電話事業部 カスタマーサクセス
能井
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