

はじめに
日々の看護業務において、正確で質の高い看護記録は、患者さんの安全を守り、チーム医療を円滑に進める上で不可欠です。しかし、手書き記録の煩雑さや、情報伝達の遅れなど、課題を感じている方も少なくないのではないでしょうか。
本記事では、電子カルテを効果的に活用することで、看護記録の質を劇的に向上させ、ミスを未然に防ぐための具体的な方法を、わかりやすくステップ形式でご紹介します。ぜひ、明日からの業務にお役立てください。
記録項目の標準化とテンプレート活用で転記ミスを削減
電子カルテの大きなメリットの一つが、記録項目の標準化とテンプレートの活用です。
1. 標準化された記録項目
必要な情報が明確になり、記載漏れや曖昧な表現を防ぎます。
2. 入力支援機能
選択肢形式やプルダウンメニューを活用することで、手入力によるスペルミスや数値の誤りを減らすことができます。
3 .テンプレート機能
定型的な記録(バイタルサイン、処置内容など)はテンプレートとして登録し、効率的な入力を実現します。
【再現性イメージ】
毎日のバイタルサイン記録で、手書きの場合「36.5℃」と「36,5℃」のように表記が揺れることがありました。電子カルテのテンプレートで「小数点以下一位まで」と設定することで、表記が統一され、転記ミスや読み間違いを防ぐことができます。
電子カルテの書き方「SOAP」とは?例文つきで解説 | メディコム - PHC Holdings Corporation
アラート機能で異常値やリスクを見逃さない
電子カルテに搭載されているアラート機能は、看護記録における潜在的なリスクを見逃さないための重要なツールとなります。
1.異常値アラート
入力されたバイタルサインなどが設定された基準値から逸脱した場合に、警告表示が出ます。早期に患者さんの状態変化に気づくことができます。
2. 相互作用チェック
複数の薬剤を投与する際に、禁忌や注意が必要な組み合わせである場合にアラートが表示されます。
3. 実施漏れ防止アラート
定期的な処置や観察の実施予定時刻になると、アラートで通知してくれます。
【再現性イメージ】
夜勤中に患者さんの血圧が急激に低下した場合、手書き記録では気づくのが遅れる可能性がありました。電子カルテのアラート設定をしておくことで、異常値を即座に把握し、迅速な対応に繋げることができます。
リアルタイムな情報共有で連携ミスを防止
電子カルテは、看護チーム内だけでなく、医師や他の医療スタッフとの情報共有をリアルタイムに行うことを可能にします。
1. 記録の即時共有
入力した情報はすぐにチーム内で共有されるため、申し送りや情報伝達の遅れによる連携ミスを防ぎます。
2. コメント機能
記録内容について、他のスタッフに確認や指示を仰ぎたい場合に、直接コメントを残すことができます。
3. 多職種連携スペース
患者さんの状態に関する情報を一元的に共有できるスペースを活用することで、よりスムーズな情報共有と意思決定が可能になります。
【再現性イメージ】
日勤の看護師が記録した患者さんの状態変化について、夜勤の看護師がすぐに電子カルテ上で確認できます。必要な申し送り事項もコメント機能で共有できるため、口頭での伝達漏れを防ぎ、夜間のケアにスムーズに移行できます。
看護過程との連携強化で記録の質を高める
電子カルテは、看護過程(アセスメント、計画、実施、評価)と記録をシームレスに連携させることで、より質の高い看護記録を作成することができます。
1. アセスメント情報の紐付け
患者さんの状態のアセスメント結果が、関連する看護計画や実施記録に自動的に反映されます。
2. 計画に基づいた記録
立案された看護計画に基づいて記録を行うことで、ケアの意図や根拠が明確になります。
3. 評価との一貫性
実施した看護ケアの効果を評価し、記録に反映させることで、看護の質の継続的な向上に繋がります。
【再現性イメージ】
患者さんの褥瘡リスクをアセスメントした結果に基づき、電子カルテ上で体位変換の看護計画を作成します。実施記録では、計画に沿って体位変換を行った時間や患者さんの皮膚の状態を記録し、定期的な評価へと繋げることができます。
データ分析による振り返りと改善
電子カルテに蓄積された看護記録のデータは、看護の質を向上させるための貴重な情報源となります。
1. 記録内容の分析
特定の疾患やケアに関する記録内容を分析することで、ケアの傾向や課題を把握することができます。
2. インシデント分析への活用
過去のインシデント事例と関連する記録データを分析することで、原因究明や再発防止策の検討に役立ちます。
3. QI活動への応用
看護記録のデータを活用して、具体的な目標設定や効果測定を行い、継続的な質の改善(QI)活動を推進することができます。
【再現性イメージ】
特定のケアに関する記録データを集計・分析することで、実施頻度や効果の高いケア方法を客観的に把握することができます。この分析結果を基に、ケア手順の見直しや研修内容の改善に繋げることができます。
データに基づく看護の質向上・看護政策の実現に向けて - 日本看護協会
おわりに
電子カルテは、単なる記録の電子化に留まらず、看護業務の効率化、医療安全の向上、そして何よりも患者さんへのより質の高いケアの提供に貢献する強力なツールです。本記事でご紹介した活用方法を参考に、ぜひ日々の業務で電子カルテを積極的に活用し、看護記録の質の向上とミスの防止を実現してください。
出典元
(注) 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の電子カルテシステムや医療機関の運用方法に特化したものではありません。ご自身の所属する医療機関の規定や手順に従ってご活用ください。

Dr.JOY株式会社 AI電話事業部 カスタマーサクセス
森川
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