はじめに
医療現場における働き方の改善が叫ばれて久しいですが、医師の長時間労働や不規則な勤務、給与計算の煩雑さなど、課題は山積みです 。患者さんの命を預かる責任感から、夜間や早朝でも対応しなければならないケースが多い上に、医療機関側も厳しい経営環境の中で人員を増やすことが難しいと感じているところもあるでしょう 。
働き方改革関連法やDX(デジタルトランスフォーメーション)の波は確実に押し寄せており、対応を先送りしてしまうと様々なリスクが懸念されます。
この記事では、医師の労働時間の現状と勤怠管理の最新動向、給与制度との関係を整理しつつ、ICTを活用した効率的な勤怠管理と給与連携のポイントについて解説します。
医師の労働時間の現状
1.長時間労働が生まれる背景
医師の長時間労働は、医療現場における深刻な問題です。その背景には、様々な要因が絡み合っています。まず、医師不足と地域・診療科の偏在が挙げられます 。大都市部に医師が集中し、地方では不足しがちであるという現状に加え、人気が高い診療科に医師が集中し、そうでない診療科や地域医療を担う病院では人員確保が難しいという構造的な問題があります 。
ある調査によると、医師の1か月あたりの時間外労働時間数は平均34.1時間で、一見、働き方改革関連法で定められた上限時間内におさまっているように見えます 。
しかし、残業0時間の医師が1割程度いる一方で、80時間を超える医師も8.1%見られ、病院の病床数別に見ると、規模が大きいほど残業50時間超えの比率が高まるようです 。
また、令和4年に調査された病院勤務医の労働時間では、32.7%が週40~50時間の労働をしており、23.7%が週50~60時間となっています 。一般的に過労死ラインは週80時間とも言われており、約4%の医師は激務であるとわかります 。医師の長時間労働は、医師のバーンアウト症候群や離職、医療ミスの増加など、医療の質の低下に繋がりかねません 。
2.不規則勤務と負担増
医師の仕事は、不規則な勤務を伴うことが多く、これが長時間労働に拍車をかけています 。夜勤や当直、オンコール対応などは時間外労働が発生しやすい状況です。緊急搬送が多い病院では、たとえ不安を抱えていても休む暇がなく、仮眠すら取れない状況に陥ることもあります 。
2019年の厚生労働省の調査によると、病院勤務医の41%が週60時間以上勤務しており、診療科別に見ると、外科、脳神経外科、救急科といった救急搬送の対応が多い診療科では、医師の約半数が週60時間以上働いているという結果が出ています 。

勤怠管理の最新動向
1.正確な勤怠認識と長時間労働の抑制
医療現場では、Excelや手書きによる出勤簿で勤怠管理を行うケースがまだ多く残っています 。
しかし、当直や臨時対応など不規則な勤務が多い医師の働き方を正確に把握することは容易ではありません 。
そこで注目されているのが、クラウド型勤怠管理システムやスマートフォンを利用した打刻アプリです 。これらのシステムは、医師が自分の勤務時間や残業時間を正確に記録することを可能にし、管理者はリアルタイムで労働時間や超過勤務を把握することができます 。
2.働き方改革との連動
働き方改革に伴い、勤怠管理システムを導入したりルールを見直したりする医療機関が増えています 。残業時間や休憩時間を明確に分けて記録できる仕組みは、医師自身の納得感を高めるだけでなく、法令遵守の観点からも重要です 。
医療機関は働き方改革関連法への対応だけでなく、医師の健康確保、医療の質の維持、医療提供体制の確保などの観点から積極的に働き方改革に取り組む必要があります 。
医師の給与制度と勤怠管理のポイント
1.医師の給与構造
一般的に、医師の給与は「基本給+各種手当+残業代・夜勤手当」で構成されています 。手当としては、役職手当、研究手当、住宅手当などが挙げられますが、夜勤や当直による手当が大きな割合を占めることも少なくありません 。
2.残業時間と収入アップのジレンマ
「残業を減らして健康とワークライフバランスを守りたい」と考えながらも、「残業代が減ると収入が減る」という現実的な問題に直面している医師もいるでしょう 。
3.コンプライアンスと労務トラブル回避
医師に対して「みなし残業」や「専門業務型裁量労働制」を適用している施設もありますが、運用方法を誤るとサービス残業や未払い残業代の発生、労務トラブルに発展する可能性があります 。医師側から残業代の請求を受け、病院が適切な支払いを命じられるケースも実際に確認されています 。
「みなし残業」とは、あらかじめ一定時間の残業代を給与に含めて支払う制度です 。例えば、毎月30時間の残業が発生すると想定した場合、実際の残業時間に関係なく30時間分の残業代が支払われます 。

医師の勤怠管理におけるICT活用と給与連携の効率化
1.クラウド型システム導入のメリット
従来の手書きやExcel管理では、二重入力や集計ミスが起こりやすく、給与明細との整合性をとるのも一苦労でした。クラウド型の勤怠管理システムを導入することで、医師がスマホやPCからいつでも出退勤や休憩時間を記録でき、管理者はそれをリアルタイムで確認できます 。
また、勤怠データはそのまま給与計算ソフトに連携できるため、手作業の工数が大幅に削減されるのも大きな魅力です 。
2.臨時の給与の反映と透明性
勤務時間や残業時間、夜勤などのデータが給与計算システムに自動的に反映されれば、医師が「自分がいつ、どれだけ働いて、どれくらい収入になっているのか」を把握しやすくなります 。
給与の計算根拠がクリアになると、不明点や不満が生じにくく、モチベーションの維持にもつながります 。また、管理者も毎月の締め作業を効率化できます 。
3.多施設や非常勤医師への対応
非常勤医師が複数の病院を掛け持ちしている場合、勤怠記録が分散しがちです。クラウド型システムなら各施設ごとに打刻を管理でき、統合したデータで給与を算出することも可能になります 。複雑なシフトや勤務形態を扱うほど、ICTを活用した一元管理のメリットは大きいでしょう 。

Dr.JOYの給与連携システム
医師の勤怠管理や給与計算を効率化するような具体的な方法を探している方は、以下のサイトをぜひご覧ください。残業や夜勤などのデータを正確に管理し、給与をスムーズに反映させるDr.JOYのシステムご紹介しています。
医療従事者と患者双方にとって、より良い環境をつくるために一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
まとめ
医師の労働時間管理と給与の連携は、「給料がいくらになるか」という問題だけでなく、医師の健康や離職率、ひいては患者の医療を受ける機会にも大きな影響を与えます。クラウドやAIといったICTをうまく活用し、勤怠データを正確に把握することで、長時間労働を抑制しながら適正な賃金を支給する仕組みを構築できる可能性が高まります。
また、働き方改革の潮流はこれからも続きます。医師の働き方を主体的に評価することは、医療機関が今後も質の高い医療を提供し続ける上で避けて通れません。医師の健康とワークライフバランスの改善だけでなく、医療サービスの質の向上、医療費の抑制、医療従事者の確保など、医療システム全体の持続可能性にも取り組んでいくことが不可欠です。
今後、AIや機械学習などの技術がさらに進化することで医療現場のワークフローが最適化され、遠隔医療やオンライン診療などの普及により、医師の働き方の選択肢も広がっていくでしょう。
医療機関は、これらの技術革新を積極的に取り入れ、医師がより働きやすい環境を整備し、質の高い医療を提供し続けられる体制を整えていきましょう。

Dr.JOY株式会社ビーコン事業部 カスタマーサクセス
彩名
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