ナースの笑顔を守る!働き方改革で疲弊を解消 

2026/3/9

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はじめに

看護師の「働き方改革」とは、看護職が安全で健康に働き続けられる環境を整えるための取り組みです。日本では2019年4月に働き方改革関連法が施行され、看護師を含む医療従事者の労働環境改善が進められてきました(中小規模の医療機関では2020年4月から適用)。

高齢化が進み医療ニーズが増大する中、看護師が個々の事情に応じて柔軟に働き続けられるようにすることが重要です。本記事では、看護師の労働現状と課題、働き方改革の内容や具体的な改善事例について、最新の情報を踏まえて解説します。


看護師の労働環境の現状と課題

1.深刻な人手不足と高まる需要

日本の看護分野では慢性的な人手不足が課題となっています。高齢化率の上昇に伴い、医療・福祉の現場では今後さらに多くの看護職員が必要になる見込みです。

厚生労働省の推計によれば、2025年までに必要な看護師数は約188万〜202万人とされています。

しかし一方で、2025年時点の看護師数は約175万〜182万人程度にとどまる見通しで、最大で約27万人の看護師が不足する可能性が指摘されています。このように看護師の需給ギャップが存在する中、現場の負担軽減と離職防止が急務となっています。

2.離職率の高さとワークライフバランスの課題

看護師は女性の割合が非常に高い職種であり、結婚・出産・育児や介護などライフイベントとの両立が難しいことから、一定の離職率が続いています。日本看護協会の調査では、看護職員の年間離職率は10%前後と高い水準にあります。

特に20~30代で結婚や出産を機に離職するケースも多く、人材の定着が課題です。また、夜勤を含む交代制勤務が生活リズムに与える負担も大きく、仕事と家庭の両立(ワークライフバランス)が取りにくい現状があります。こうした要因が重なり、「妊娠・出産」「子育て」「介護」などを理由に退職する人が後を絶ちません。働き続けたいと望む看護師が安心してキャリアを継続できるよう、職場環境の柔軟な整備が求められています。

3.長時間労働・時間外労働の負担

看護の現場では慢性的な長時間労働も問題となっています。夜勤明けに残業して記録業務を行ったり、勤務後に研修や勉強会に参加したりすることで、勤務時間外の労働が常態化しがちです。間外労働(月の残業)が20時間以上に及ぶ看護師も少なくなく、労働組合の調査では約20%の看護師が月20時間以上の残業を経験し、約10%は月30時間以上残業しているとの結果もあります。

中には「緊急入院の対応」「急変対応」で勤務が延長し、過労死ラインとされる月80時間超の残業に達するケースもわずかながら報告されています。このような過重労働は看護師の心身に大きな負担となり、燃え尽き(バーンアウト)や離職の原因にもなります。


看護師の働き方改革の主な内容

こうした課題に対応するため、働き方改革関連法により看護師の労働環境に関して以下のような制度が導入・強化されています。

1.時間外労働(残業時間)の上限規制

看護師を含む労働者の残業時間に法的な上限が設定されました。原則として月45時間・年360時間以内におさめる必要があります。臨時の特別な事情がある場合でも、年間で720時間(月平均60時間相当)を超えてはならず、かつ月45時間超の残業が認められるのは年6か月までという厳格な制限があります。

これらの上限を超えて労働させた場合、事業者(病院等)には罰則が科されます。従来は現場の状況次第で青天井になりがちだった看護師の残業時間ですが、法規制により過度な長時間労働の是正が図られています。

2.年次有給休暇の取得義務化

年5日の有給休暇取得の義務も導入されました。年間10日以上の有給休暇が付与される看護師を含む労働者について、雇用主は毎年5日分の有給休暇を確実に取得させなければなりません。病院によっては多忙さゆえに有給を取得しづらい雰囲気がある場合もありますが、この制度により計画的な休暇取得が促されています。

実際に、職場ごとに年5日の計画年休制度(あらかじめ有給休暇取得日を決めておく仕組み)を導入する例も増えています。

3.労働時間の適正な把握と記録

働き方改革では、従業員が「実際にどれくらい働いているか」を客観的に把握・記録することが事業者の義務となりました。タイムカードやICカードによる打刻、パソコンなどの電子機器のログイン・ログオフ記録によって勤務時間を記録することが求められています。

看護師の場合、電子カルテ(電子的な患者記録システム)へのログイン時間等を活用して勤務時間を管理するといった方法が推奨されています。これは自己申告の出勤簿だけでなく客観的記録を残すことで、サービス残業の見逃しや労働時間の過小申告を防ぎ、適正な労働時間管理につなげる狙いがあります。

4.「同一労働同一賃金」の導入

同一労働同一賃金とは、雇用形態が異なる正職員とパートタイム職員・契約職員などの間で、不合理な待遇差をなくすための原則です。働き方改革に伴い、この原則が医療業界にも適用されました。

具体的には、正社員だから福利厚生が手厚くて非正規には一切ない、フルタイムと短時間勤務で基本給が大きく違うといった不公平があってはならないと定められています。同じ役割・職務内容であれば同等の基本給や手当を支給し、待遇差を設ける場合は職務内容や責任範囲の違いに応じた合理的な根拠が必要です。ただし、役職手当(役職に応じた賃金)や夜勤手当(夜勤勤務の有無による賃金差)など、仕事内容の違いに基づく待遇差は合法として認められています。

この仕組みにより、非正規看護職員であっても不合理に低い処遇に据え置かれることがないよう改善が図られています。

5.夜勤・交代制勤務の負担軽減

看護師特有の勤務形態である夜勤についても、働き方改革の中で見直しが検討されています。日本看護協会(JNA)は「看護職が就業を継続できる働き方」の提言の中で、夜勤体制の改善を重要項目に挙げています。

例えば、勤務間インターバル(勤務終了から次の勤務開始まで一定時間の休息を確保すること)を十分に取ることや、夜勤回数や連続夜勤日数に配慮したシフト編成などが推奨されています。法律上は勤務間インターバル制度は努力義務ですが、病院によっては「11時間以上の休息時間を空ける」など自主的に取り組むところもあります。

夜勤の負担軽減は、看護師の健康維持と離職防止につながるため、各現場で工夫が重ねられています。


看護師の働き方を改善する具体的な取り組み事例

働き方改革を実現するために、全国の医療機関で様々な工夫やICT(情報通信技術)の活用が進んでいます。ここでは最新の事例や取り組みをいくつか紹介します。

1.シフト体制の見直しと柔軟な勤務形態

夜勤の負担を減らすために、ある病院では従来の2交代制(長時間の夜勤)から3交代制に変更し、更に「遅出」勤務を新設しました。

具体的には、日勤・準夜・深夜の三交代に加え、13:00~21:00などの遅出勤務スタッフを配置することで、夜勤帯の業務を一部カバーする体制を敷いたのです。その結果、夜勤者の負担が軽減され、夜勤明け職員の疲労も減少しました。また、勤務12時間のインターバル確保を基本とし、勤務シフトの組み合わせにバリエーションを持たせることで、看護師一人ひとりの生活リズムに合った働き方を実現しています。

このように柔軟な発想でシフト制度を見直し、負担軽減と人材定着につなげた例があります。

2.業務の効率化と時間外業務の削減

残業を減らすためには、勤務時間内に業務を効率よく終えられる工夫が必要です。ある病院では、ノー残業デー(残業しない日)の設定や、日勤開始前の早出残業をなくすための始業時間の固定を行いました。

また、従来勤務時間外に行われていた研修や会議を日勤帯(勤務時間内)に実施するようスケジュールを変更しました。さらに、看護師が担っていた業務のうち、おむつ交換や食事介助など直接医療行為でない介護的業務は介護士や看護補助者に依頼し分担するようにしました。

加えて、朝の申し送り(引き継ぎ)の時間を遅らせ、情報収集のために看護師が早めに出勤しなくても済むよう調整しました。これらの取り組みにより、時間外労働の削減と業務効率化が達成され、看護師の負担軽減に成功しています。

また、仮に残業が発生した場合でも適切に残業代を支給して評価することが大切であり、その点も徹底することで職員のモチベーション維持につなげています。

3.有給休暇取得促進と働きやすい職場づくり

年5日の有給取得義務を形骸化させず実効あるものにするため、ある先進的な病院では「1週間連続休暇取得奨励制度」を導入しました。

これはもともと育児中の職員には短時間正職員制度(※通常より1日の勤務時間を短縮したフルタイム勤務形態)を整備し育児と仕事の両立支援を行っていましたが、それ以外の職員から「連続して休みが取りにくい」という不満の声が上がったことがきっかけで生まれた制度です。

この制度では、土日などの公休と有給を組み合わせて連続1週間の休暇を取得できるように奨励したところ、年次有給休暇の取得率が80%台に向上しました。有給をまとめて取得できる風土づくりは、育児やプライベートの事情がある人だけでなく全職員の働きやすさにつながり、結果的に離職防止にも寄与しています。

4.ICTの活用による業務負担軽減

医療分野でもICTを活用した業務改善が進んでいます。例えば、ある大学病院では看護記録作成に音声入力システムを導入し、看護師がスマートフォンに話すだけで記録が電子カルテに入力できるようにしました。記録業務にかかる時間が大幅に短縮され、残業時間の削減につながっています。

また、その病院では医師や他職種との連絡に医療者専用のチャットアプリやSNSを用いることで、緊急連絡や情報共有をスムーズにしコミュニケーションの効率化も図りました。ICTの導入により、これまで紙の記録や口頭伝達に費やしていた時間が減り、看護師は本来のケア業務に専念しやすくなります。

さらに、訪問看護の現場ではタブレット端末やクラウドシステムを活用し、事業所に戻らず直行直帰で訪問看護を行える体制を整える取り組みも見られます。モバイル上でスケジュール管理や記録入力、情報共有ができるため、移動や事務処理にかかる時間が削減され、看護師の負担軽減とサービス提供の効率化につながっています。このように最新のICTを活用した業務改革は、看護師の働き方改革を強力に後押ししています。


まとめ

看護師は社会的に需要が高まっている一方で、人員不足や業務負担の大きさから働き方の改善が強く求められる職業です。

働き方改革関連法の施行から数年が経ち、残業時間の上限設定や有給取得の義務化など制度面の整備によって、看護師の労働環境は少しずつ改善されつつあります。また、現場レベルでもシフト調整の工夫やICT活用による効率化など、前向きな取り組みが各地で広がっています。

しかし、職場によっては依然として「急患対応でどうしても残業が発生する」「人手不足で休みが取りづらい」といったケースもあり、改革の効果の度合いには差があるのも現状です。特に新型コロナウイルス感染症の流行下では業務量が増え、一時的に看護師の負担が増加したとの調査結果も見られました。こうした課題に対応するためには、経営側による労務管理の徹底と人員配置の適正化はもちろん、看護師自身の働き方に対する意識改革やキャリア選択肢の拡大も重要です。

総じて、看護師の働き方改革は「働き続けられる仕組み」を作るための長期的な取り組みです。制度と現場の双方からのアプローチにより、看護師が生涯にわたって安心して働ける職場環境を実現していくことが求められています。今後も最新の医療制度の情報をキャッチアップしながら、テクノロジーの力も積極的に借りて、看護師が笑顔で働き続けられる未来を目指していきましょう。


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