医師の働き方改革における兼業の役割と課題 

2025/10/17

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はじめに

近年、医師の働き方改革が社会的に大きな注目を集めています。なかでも「時間外労働の圧迫」は、医師のみならず医療従事者全体にとって深刻な課題といえるでしょう。

厚生労働省のガイドラインにそって2024年4月から医師の時間外労働に上限規制が順次導入され、医療機関は従来の働き方を抜本的に見直す段階に来ています。一方で、こうした制約の中にあっても、医師が兼業(副業)を行う動きが活発化しているのも事実です。

働き方改革によって生まれる時間的・精神的なゆとりを、副業を通じて新たなキャリア形成や社会貢献に活かしたいという声もあれば、実際の医療現場では「ただでさえ多忙なのに兼業まで抱えられるのか」といった懸念も少なくありません。

そこで本記事では、時間外労働が圧迫される背景を整理しつつ、兼業がもたらす役割とメリット、そして同時に考慮すべき課題やリスクについて解説します。


医師の時間外労働が圧迫される要因

1. 医療現場における人手不足とタスク過多

医師の時間外労働が増えてしまう背景としてまず挙げられるのが、依然として深刻な医師不足です。診療科や地域によって偏在が生じやすく、特に救急や産科、小児科などでは深刻度が高いといわれています。一人の医師が担う業務範囲が広いほど、休日や夜間の呼び出し対応などで労働時間が圧迫されがちです。

2. 不規則な勤務体系と緊急対応

医師の勤務形態は想定外の急患対応など、突発的な業務が多いことも特徴です。通常の外来や入院管理に加えて、夜間・休日の救急対応が重なると、「定時」という概念が形骸化しやすくなります。その結果、月や年度ベースで見たときに膨大な時間外労働を強いられるケースが後を絶ちません。

3. 厚生労働省のガイドラインから見る問題点

厚生労働省の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001094035.pdf) では、2024年4月以降、医師の時間外労働に年間960時間の上限などが示されています。

しかし、医療現場の実態としては、「現状の人員で本当に対応できるのか」「上限を超えないための具体的な運用や医師の偏在是正が進むのか」といった不安の声が依然として根強いと感じます。制度を取り巻く環境整備と同時に、現場のニーズに即した柔軟な対策を模索する必要があるでしょう。


兼業(副業)の役割と期待されるメリット

1. 収入面・キャリア面でのメリット

医師が兼業を行う最大のメリットとしては、まず経済的な安定が挙げられます。常勤の医師として働きながら週末に非常勤や在宅診療の支援を行うことで、追加の収入源を得るケースは増えています。

また、副業先で新たな専門分野に挑戦することで得られる知識やスキルは、本業にも良い影響を与える可能性があります。キャリアの多様化を図れるメリットは、働くうえでのモチベーション維持に大きく貢献します。

2. 組織内外の連携強化

医師が異なる医療機関や関連企業で兼業することで、組織間の情報共有や連携が進むことも期待できます。たとえば遠隔医療やICTツールの開発に携わるなど、本業以外のフィールドで医療知識を活かすケースもあります。

こうした活動を通じて得られた知見は、所属先の医療機関に持ち帰ることができるため、結果的に医療の質向上やサービス拡充にもつながるでしょう。


兼業を巡る課題とリスク

1. 時間外労働をさらに増大させる懸念

一方で見過ごせないのが、「兼業が本業の時間外労働をさらに圧迫してしまうのではないか」という問題です。

医師の多くはすでに長時間労働に直面しているため、そのうえで兼業を行うとなると、休息やリフレッシュの時間が削られ、疲労やストレスが蓄積してしまうリスクがあります。

2. 労務・就業規則や倫理的側面

兼業が許可されているかは、病院や勤務先の就業規則によって異なります。むやみに兼業を始めると、就業規則違反や契約形態の不備を指摘される恐れがあります。また、情報セキュリティや守秘義務の観点から、複数の医療機関や企業での業務を両立する場合は、情報やデータをどのように扱うかを慎重に検討しなければなりません。


時間外労働抑制と兼業の両立に向けたポイント

1. 効率的なタスクシフトやICT導入

時間外労働を抑制しながら兼業のメリットを享受するには、医師の業務負担をそもそも軽減していく取り組みが不可欠です。

具体的には、事務作業を補助スタッフに委任する「タスクシフト」や、医療DXを推進して電子カルテやオンライン診療システムをより活用するなど、医師の負担を分散・軽減する策を検討すべきでしょう。そうした改革が進むことで、医師が実質的に「本業も副業も両立できる環境」が生まれてくるのではないでしょうか。

2. 実効性のある労働時間管理

病院経営者や管理職には、医師の正確な労働時間を把握し、無理のないスケジュールを組む責任があります。

勤怠管理システムやタイムカード、オンライン打刻などのツールを導入することで、実際の労働時間を可視化し、時間外上限を超えそうな状況を早期に把握できるようになるでしょう。兼業を行う医師の場合はなおさら、双方の勤務実態を把握する仕組みを整えなければ、健康管理面でのリスクが増大します。

3. 教育・研修やサポート体制の重要性

働き方改革に合わせて、新しいルールを導入するだけでは不十分です。

職員向けに労働時間管理や働き方改革に関する研修を実施したり、メンタルヘルス対策の相談窓口を設置したりするなど、実務面と精神面をサポートする仕組みづくりが求められます。兼業に踏み切る医師が安心して活動できるよう、院内研修や専用の相談体制を用意する病院も徐々に増えています。


まとめ

医師の時間外労働が圧迫される背景には、人手不足や突発的な救急対応、長年培われてきた労務管理の慣習など、複数の要因が絡んでいます。

一方で、働き方改革の流れを追い風に、兼業(副業)という新たなキャリアパスを選ぶ医師も増えつつあります。兼業はうまく活用すれば収入や知識の面でプラスに働きますが、現場の長時間労働をさらに悪化させるリスクや守秘義務・法令順守といった課題も無視できません。

これからの時代、医療DXやタスクシフトの推進、適切な労働時間管理の実施など、多角的な施策によって医師の働き方改革を本格的に進めていく必要があります。兼業がもたらす多様な働き方を適切にサポートできれば、医療界全体として新たな連携やイノベーションが生まれるかもしれません。時間外労働を抑制しつつ兼業のメリットを活かすためには、医療機関・医師・行政が一体となって、柔軟かつ実効性ある取り組みを模索し続けることが大切だと感じています。

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