- はじめに
- 大規模病院が陥りやすい『医師兼業管理』の盲点
- 1. 兼業実態を把握しきれない理由
- 2. コンプライアンスや法的リスクの可能性
- 働き方改革で何が変わる? 管理面における3つの重要ポイント
- 1. 労働時間管理の強化
- 2. 就業規則・院内ルールの再確認
- 3. トラブル回避のための情報共有
- 大規模病院の労務管理が変わる!適切なシステム活用がもたらすメリット
- 1. 従来の管理方法の課題
- 2. システム導入による効率化と安全性
- 3. 勤怠管理システム・兼業管理機能の活用事例
- 兼業管理のポイントを押さえた運用フロー例
- 1. 兼業申請と承認手順の明確化
- 2. 兼業先での労働時間データ取得と自動連動
- 3. 閾値設定とアラート
- 4. 定期的な見直しとルールアップデート
- まとめ
- 労務担当者におすすめ:勤怠管理システムの兼業管理機能をチェック
はじめに
近年、医師の働き方改革が大きな話題となっています。特に時間外労働に上限を設定し、医療現場全体で働く時間や負担を適切にコントロールする動きが加速してきました。その流れを受けて、大規模病院では「医師の兼業」を明確に認めたり、あるいは規定整備を進めたりする例が増えています。
実際、院内の診療や研究に加えて、ほかの医療機関で非常勤として診察したり、産業医活動を行ったりする医師が多く存在します。
近年の調査では「現在副業をしている」と回答した医師が6割を超えるとの報告もあり、兼業はもはや特別なケースではありません。
しかし、こうした兼業をどのように管理していくのか、労務担当者にとっては頭の痛い課題かもしれません。働き方改革によって時間外労働がより厳格に規制される一方で、兼業を認めるとなると、「本業と兼業を合わせた通算労働時間」を正しく把握しなければならないからです。ここに大きな盲点やリスクが潜んでいるといえるでしょう。
本記事では、兼業管理における落とし穴と、働き方改革の視点から特に重要となるポイントを探りながら、実践的な解決策としてシステム活用をご紹介していきます。
大規模病院が陥りやすい『医師兼業管理』の盲点
1. 兼業実態を把握しきれない理由
大規模病院になるほど職員数が多く、部署間の連携が複雑になりがちです。医師が兼業を行う場合、院内規定で「兼業届」の提出を求めるケースは一般的ですが、この届出制が形骸化している例も少なくありません。
書面での手続きに限ると、医師が提出を忘れる、あるいは本務先・兼務先の労働時間をうまく共有できずに、現場任せになっている状況をよく耳にします。
また、紙ベースやExcelでの管理では、提出漏れや集計ミスが起こりやすいだけでなく、兼業先の情報更新が常に必要になるため、担当者の手間が膨大になります。その結果、「誰がどこでどのくらい働いているのか」を網羅的に把握しきれず、病院としての管理責任を十分に果たせないリスクが生じます。
2. コンプライアンスや法的リスクの可能性
働き方改革関連法では、医師の時間外労働に特例が設けられてきましたが、
2024年4月からは年間960時間を上限とする規制が適用されています。
救急や特定診療科では特例B水準(最大1,860時間)も認められますが、いずれにしても上限を超えない管理が必要になります。
法的な整備が進むほど、「兼業先の労働時間も含めて適正に把握すること」の重要性が増していきます。もし本務先と兼業先の労働時間を合算せず、適切な上限管理を行わなければ、過重労働による健康被害や医療事故のリスクだけでなく、これは法令違反となり、病院として重大な責任を問われる可能性が高いといえます。
また、医療安全の観点からも、医師が疲労を蓄積した状態で診療にあたることは避けるべきです。万が一、管理不備を指摘されるようなトラブルが起こると、社会的信用を損なうリスクも高いでしょう。

働き方改革で何が変わる? 管理面における3つの重要ポイント
1. 労働時間管理の強化
2024年4月以降、医師にも時間外労働の厳格な上限規制が適用され、通算労働時間を正しく把握する体制整備がさらに求められます。労働基準法上は兼業先も含めた通算管理を義務としているため、病院側は「兼業の有無」だけでなく、医師本人からの申告や勤怠データ連携などを通じて実際の労働時間を合算管理する必要があります。
兼業先との情報連携が不十分だと、「本務先での残業時間」と「兼業先での勤務時間」を正確に把握しづらく、過度な労働時間に気づけないまま放置してしまう可能性が高まります。
2. 就業規則・院内ルールの再確認
労働時間の通算管理が求められる現状では、病院の就業規則や院内ルールを見直し、兼業について具体的に規定しておく必要があります。兼業に関する申請方法、許可基準、管理方法、報告義務などを明文化し、それを院内に周知徹底しない限り、現場レベルでの混乱は続いてしまいます。
ただし、研修医や公立病院の医師(地方公務員)など、副業が法的に制限される場合もあるため注意が必要です。 いずれの場合も、全体の労働時間を通算で管理することが法的に求められるため、部署横断の協力体制を築き、定期的な情報共有を行うことがポイントです。
3. トラブル回避のための情報共有
大規模な病院では、人事部門や経理部門など労務管理にかかわる部署が複数存在する場合もあります。兼業の申請がどこに届き、承認後の実際の勤務状況を誰がチェックするのか、情報の受け渡しにすき間があれば、管理しきれない部分が出てしまいます。
また、兼業する医師本人とのコミュニケーションも重要です。忙しい業務の合間を縫って申請書類を提出してもらったり、定期的な報告を求めたりするには、明確な仕組みやツールの導入が必要と感じます。
大規模病院の労務管理が変わる!適切なシステム活用がもたらすメリット
1. 従来の管理方法の課題
紙やExcelでの管理は、直感的にわかりやすい半面、データを更新するたびに新しいファイルを作成したり、膨大な書類を整理したりする手間がかかります。特に数百人単位の医師が在籍している病院では、属人的な作業が増えてミスや抜け漏れが起こりやすくなるのが現実です。
また、兼業先での労働時間を入力してもらう場合、手動での集計だと二重入力や記入漏れなどのヒューマンエラーが発生しやすく、全体像を見渡すことが難しくなります。さらに、IT導入にあたっては、個人情報や勤務データなどの取り扱いにおけるセキュリティ対策も欠かせません。
2. システム導入による効率化と安全性
こうした課題を解決する手段として、勤怠管理システムや兼業管理機能を活用した一元管理が注目されています。院内の勤務状況はもちろん、兼業先の勤務時間もシステム上で入力・連携することで、通算労働時間を正確に算出できるようになるのです。
たとえば、
兼業先の労働時間データと自動連携
月の残業時間が基準値に近づくとアラートを発する
医師個人の勤務パターンや休暇情報を一括管理
などの機能があると、担当者や医師本人の手間を大幅に軽減でき、リスク管理の精度も高まります。さらに近年は、ビーコンやGPSを使った自動打刻機能を備えたシステムも登場し、正確性と効率性が一段と向上しています。
3. 勤怠管理システム・兼業管理機能の活用事例
最近では医療機関向けに特化したクラウド型勤怠管理システムが増えており、医師の兼業を想定した機能を標準搭載しているものもあります。たとえば、従来は紙で行っていた兼業許可の申請をシステム上のワークフローで完結させ、承認状況を自動的に記録するといった方法が代表的です。
ビーコンやGPSを活用した自動打刻が可能なシステムもあり、院内にいる間の在院時間を正確に取得できるだけでなく、外勤や兼業先での勤務状況との合算も容易になります。これにより労務担当者の負担を減らすだけでなく、病院としての管理責任をより確実に果たすうえでも非常に有効です。

兼業管理のポイントを押さえた運用フロー例
1. 兼業申請と承認手順の明確化
医師が兼業先を新たに追加・変更した場合、システム上で申請を行う仕組みにすることで、紙書類のやりとりが不要になります。部署長や労務担当者はオンライン上で承認フローを回し、承認・却下の履歴を残せるため、手続きや管理に透明性が生まれます。
ただし、研修医や公務員医師など、法的に兼業が禁止または制限されるケースがある点は就業規則で明示し、該当者には個別に周知しておく必要があります。
2. 兼業先での労働時間データ取得と自動連動
医師本人が入力する、あるいはAPI連携などで兼業先からデータを受け取れるようにしておけば、二重入力を防ぎながら本務先の残業時間と合算できます。システム画面に通算労働時間が表示されることで、常に最新の稼働状況がわかります。
3. 閾値設定とアラート
月の残業時間が一定基準を超えそうになった段階で、自動的に労務担当者や医師本人に通知が飛ぶ仕組みにしておくと、過度な長時間労働を未然に防ぐことが期待できます。特に繁忙期は疲弊しやすいので、早い段階で対策を打てるのは大きなメリットです。
4. 定期的な見直しとルールアップデート
法改正や病院の運用実態に合わせて、兼業規定や申請フローを定期的に見直すことも大切です。システムの管理画面やアラート条件も柔軟に調整し、常に最新の労務管理体制を維持すると、職員にも安心感が広がるでしょう。
まとめ
大規模病院では、兼業を希望する医師の数も多く、診療科や部署が複雑に分かれているため、労務担当者だけで全員の兼業状況を正確に把握するのは至難の業です。2024年4月からの医師の時間外労働上限規制(年間960時間、特例B水準1,860時間)が始動した今、兼業先を含めた通算労働時間の管理は避けて通れない課題です。
兼業実態を網羅的に把握し、届出漏れを防ぐ
時間外労働の上限を意識し、医師の健康と医療安全を守る
就業規則や院内ルールを整備し、労務管理を徹底する
これらを実行するには、紙やExcelでは限界があります。データの一元化や自動集計が可能な勤怠管理システムを導入し、セキュリティ対策にも配慮しながら兼業管理を含めたトータルな働き方改革に取り組むことが、大規模病院にとって必須の時代になったといえるでしょう。
労務担当者におすすめ:勤怠管理システムの兼業管理機能をチェック
もし、「当院の兼業管理をもっとスムーズにしたい」「働き方改革に対応して、労働時間を正確に把握したい」という課題感をお持ちであれば、一度、医療機関向けの勤怠管理システムを検討してみてはいかがでしょうか。以下では、医師の兼業管理にも対応した機能概要を紹介しています。ぜひご参照ください。
大規模病院の複雑な事務フローや、医師の働き方改革への対応をスムーズに行うために、システム活用は今や大きな選択肢になりつつあります。まずは情報収集から始めてみて、最適な労務管理体制を目指していただければ幸いです。

Dr.JOY株式会社ビーコン事業部 カスタマーサクセス
鈴木
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