

背景
病院の外来業務では、電話応対が重要な役割を担います。患者さんからの予約や問い合わせの電話がひっきりなしにかかってくるため、受付スタッフは対応に追われがちです。特に日本の多くの医療機関では、代表電話に患者さんからの問い合わせが集中し、「電話がつながりにくい」「電話に出ません」といった不満の声が少なくありません。このような状況は、医療サービス自体への満足度とは関係なく、患者さんの不信感につながってしまうことが指摘されています。
実際にある病院では、1日あたり1500件以上もの外部からの電話着信がありましたが、平均応答率は約68%にとどまり、約32%の電話は対応しきれずに切れてしまっていました。これは単に患者さんの不満につながるだけでなく、病院にとって診療予約の機会損失にもなり得ます。こうした電話対応の負担は、外来業務に従事するスタッフの業務効率を低下させる要因ともなっています。
課題:電話対応による外来業務への影響
外来受付のスタッフは、本来であれば目の前の来院患者対応に専念すべきですが、電話がひっきりなしに鳴る状況では患者対応と電話応対の両立が難しくなります。電話対応中はカウンターでお待ちの患者さんをお待たせしてしまったり、逆に対面対応中に電話を取れなかったりと、業務の断続が発生します。これにより、スタッフの負担増加や対応品質のばらつきが生じ、ひいては患者さんの満足度低下につながるリスクがあります。
さらに、人手で全ての電話に対応しようとすると人員の確保や残業が必要になり、人的コストが増大します。それでも先述の通り、時間帯によっては対応しきれない電話が発生するのが現状です。つまり、現行の電話応対体制には効率面・サービス面の両面で課題があると言えます。
解決策:050番号の導入
こうした課題に対するソリューションの一つが、「050番号」を活用した電話システムの導入です。050番号とはIP電話サービスで利用される電話番号で、インターネット回線を使って通話するための番号を指します。050番号を外来業務に取り入れることで、電話応対体制を見直し、スタッフの負担軽減と患者さんの利便性向上を図ることができます。
050番号を用いるIP電話システムには、従来の固定電話にはない複数のメリットがあります。第一に、コスト面での優位性です。通話がインターネット経由となるため通話料が従来より大幅に安くなり、加えて固定回線のような開通工事も不要なので、初期費用やランニングコストを大幅に削減できます。例えば、専用の電話機を設置しなくてもパソコンやスマートフォンに専用アプリを入れるだけで最短即日から050番号を取得して利用開始することも可能です。
第二に、050番号を使ったクラウド電話では、同時に複数の電話に対応しやすいほか、自動音声応答(IVR)やAIによる一次対応を導入しやすいというメリットがあります。人間のオペレーターが電話に出る前に、自動システムが用件を聞き取って適切に振り分けたり、よくある問い合わせに答えたりすることで、スタッフが直接対応する電話の件数を減らすことができます。実際、病院向けのAI電話サービスを導入した例では、「電話がつながらない」という患者さんからの苦情が解消され、患者さんの信頼感と利便性が向上したとの報告もあります。また、24時間365日の自動応答により、夜間や休診日でも予約受付や各種案内が可能となり、患者さんはいつでも必要なときに連絡できる安心感を得られます。

相乗効果:050番号導入がもたらすメリット
1. 業務効率の向上
電話対応の一部または大半を自動化・分担することで、受付スタッフは本来の外来対応に専念できるようになります。電話のベルによる業務中断が減り、目の前の患者さんに集中できるため、対面サービスの質向上にもつながります。実際に、業務体制を組み替えたことで「受付が外来業務に専念できるようになった」という報告もあります。
2. 患者満足度の向上
電話が繋がらずイライラするといった事態が減り、患者さんからの問い合わせに迅速に応じられるようになります。誰も出ないという不安が解消されることで、患者さんの安心感・信頼感が高まります。自動音声による適切な案内や保留中の状況案内によって、待たされるストレスも軽減され、病院全体の評判向上につながります。
3. 機会損失の防止
従来取りこぼしていた電話(話し中や営業時間外の着信)も、050番号によるシステムで確実に受け付けることで、逃していた予約や問い合わせをしっかり受け止められます。結果として診療機会を逃さずに済み、収益や業務計画の面でもプラスになります。特に外来予約は病院への入り口となる重要な要素であるため、確実に対応できる仕組みは大きなメリットをもたらします。
4. コスト削減
050番号を用いたIP電話は、通話料・設備投資の両面で経済的です。従来より少ない費用で電話業務を運用できるため、浮いたコストを他の医療サービス向上に振り向けることができます。さらにクラウド型の電話システムなら、必要に応じて番号や回線を柔軟に増減できるため、繁忙期・閑散期に合わせた最適な運用が可能です。
5. 柔軟な働き方への対応
050番号はインターネットさえ繋がれば場所を選ばず利用できるため、院外や在宅での電話対応も可能になります。これにより、院内スタッフだけでなくリモートワークや外部コールセンターの人員とも連携しやすくなるので、人的リソースを柔軟に活用できます。オンライン診療や在宅勤務の需要が高まる中、050番号を活用することで、院内の対面診療とオンライン対応をシームレスに組み合わせることができます。
結論
病院の外来業務における電話対応は、患者サービスの要である一方、従来のやり方ではスタッフ負担や機会損失といった課題が顕在化していました。そこで050番号を活用したIP電話システムを導入することにより、低コストで電話対応力を強化し、対面業務との相乗効果で業務効率と患者満足度を高めることが可能です。
重要なのは、技術(050番号の電話システム)と現場の業務フローをうまく組み合わせることです。電話応対を適切にシステム化・分担することでスタッフはより価値の高い業務に集中でき、患者さんにはより良い体験を提供できます。その結果、病院の運営全体にプラスの波及効果が生まれます。
このように、外来業務における050番号の導入は、単なる電話番号の変更に留まらず、現場の生産性向上とサービス品質向上を同時にもたらす施策と言えます。電話対応改革によって得られるこれらの相乗効果は、今後ますます重要性を増す医療機関の働き方改革や患者満足度向上にも大いに寄与するでしょう。
出典元
クリニックの電話対応は患者の満足度を左右する!|株式会社NTTエムイー https://www.ntm.co.jp/column/detail147
050番号とは?メリット・デメリット、IP電話との違いを解説|株式会社トビラシステムズ https://www.tramsystem.jp/voice/voice-1933/
医療機関の「働き方改革」推進と「患者満足度向上」への貢献|株式会社NTT東日本 https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/ih_column-140.html

Dr.JOY株式会社 AI電話事業部 カスタマーサクセス
森川
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