

- はじめに
- 1. 病院におけるカスハラの実態と対応の課題
- 1.1. 病院のカスハラとは
- 1.2. カスハラの被害を受けやすいのは誰か
- 1.3. 人手不足がカスハラ対応をさらに難しくする
- 2. カスハラ対応が医療現場にもたらす3つの課題
- 2.1. 業務遅延と医療サービスの品質低下
- 2.2. 再発防止策が個人任せになるリスク
- 2.3. 安全配慮義務違反のリスク
- 3. 病院の電話カスハラに対応する現在の主な方法
- 3.1. 通話録音・自動録音システムの導入
- 3.2. 対応マニュアル・NGワード集の整備
- 3.3. 複数人・チームでの対応体制
- 3.4. IVR(自動音声応答)による一次振り分け
- 3.5. AI電話サービスによる自動応答
- 4. AI電話サービスで実現する受付業務の負担軽減
- 4.1. 音声認識と自動応答による1次対応の実現
- 4.2. クレーム内容のテキスト化と即時共有
- 4.3. 従来の電話対応とAI電話サービスの比較
- 5. AI電話を導入する前に知っておきたいチェックリスト
- 6. Dr.JOYのAI電話サービスが選ばれる理由
- 7. よくある質問(FAQ)
- 8. まとめ
- 9. 参考資料
はじめに
厚生労働省の調査(2024年)では、他のハラスメントと比べてカスタマーハラスメントのみ相談件数が増加傾向にあると回答した企業の割合が最も高く、医療・介護分野を対象にした労働組合の調査(2024年)でも回答者の4割以上が患者などからの迷惑行為を経験しています。
本記事では、病院におけるカスハラの実態と課題を整理したうえで、「電話口でのカスハラ」に対する最前線の防波堤として、AI電話サービスの導入が受付業務の負担をどのように軽減できるのかを詳しく解説します。
1. 病院におけるカスハラの実態と対応の課題
1.1. 病院のカスハラとは
病院におけるカスハラとは、患者やその家族が自身の立場を利用し、医療スタッフに対して暴言、執拗なクレーム、または不当な要求を行う迷惑行為のことです。

図表1:患者・利用者・家族から迷惑行為の被害にあったことの有無(過去3年間)
出典:公表資料から編集部で作成
医療・介護現場を対象とした労働組合の共同調査(2023年11月〜2024年1月実施)によると、回答者の4割以上が過去3年間に患者などからの迷惑行為を受けた経験があり、そのうち4人に1人がカスタマーハラスメントに該当する被害を受けたと回答しています。
カスハラへの対応が長引くことは、本来のケア業務を圧迫する要因の一つとされています。
1.2. カスハラの被害を受けやすいのは誰か
カスハラは特定の職種や部署に偏って発生しやすい傾向が報告されています。
受付・窓口スタッフ
患者と直接対面・電話でやり取りする立場のため、クレームや不当な要求を最初に受け止める機会が多い
看護師
看護師のおよそ半数がカスハラ被害を受けたと回答しており、他の職種と比べても相談割合が高い傾向が報告されている
女性スタッフの多い部署
医療・介護現場は女性従事者の割合が高く、セクシュアルハラスメントを伴うカスハラが発生しやすいことも指摘されている
認知症や精神疾患のある患者に対応する部署
行為者側に認知症や精神疾患があるケースが多いとされ、対応の難しさにつながっている
こうした傾向を踏まえると、受付窓口を中心に、特定のスタッフや部署に負担が偏らない体制づくりが重要といえます。
1.3. 人手不足がカスハラ対応をさらに難しくする
医療業界全体で進行している人手不足は、厚生労働省の労働経済動向調査でも継続的に「不足」超過の傾向が示されており、この状況下でカスハラが発生すると、以下のような悪循環が生じやすくなります。
1人あたりの業務量増大
少ない人数で外来受付を回しているため、1つの長電話が窓口全体の業務をストップさせる
メンタルヘルスの悪化
執拗な説教や暴言を直接受ける受付スタッフや事務職員が、強い精神的ストレスを抱える
離職の増加
ストレスによる休職や退職が相次ぎ、結果として残されたスタッフの負担がさらに増える
2. カスハラ対応が医療現場にもたらす3つの課題
カスハラに対する適切な対応策を講じない場合、病院経営や日常業務において主に以下の3つの課題が生じるとされています。
2.1. 業務遅延と医療サービスの品質低下
クレーム対応に時間を取られると、本来の診療サポートやカルテ入力が後回しになります。
具体的な症状:1本の電話対応が長引き、他の電話がつながりにくくなる
具体例:会計待ちの患者に「まだですか」と言われながら、20分以上クレーム対応に追われ、外来全体の進みが遅れる
こうして1件の対応が他の患者の待ち時間を延ばし、新たなクレームを招くこともあります。
2.2. 再発防止策が個人任せになるリスク
対応の経緯が担当者個人の記憶やメモに頼りがちで、組織として蓄積されにくいという課題もあります。
具体的な症状:クレームの記録が対応者本人にしか残らない
具体例:同じ患者から以前も似たクレームがあったのに、担当者が異動・退職しており、別のスタッフが一から状況を把握し直す
情報が共有されていないと、同じ患者への対応が繰り返されるたびに、病院として一貫した対応が取りにくくなります。
2.3. 安全配慮義務違反のリスク
スタッフを守る対策を怠ると、安全配慮義務違反を問われる可能性があります。
具体的な症状:暴言やクレームを受けたスタッフを守る仕組み(録音、対応マニュアル、相談窓口など)がない
具体例:同じ患者から繰り返し暴言を受けていたスタッフを病院が放置し、体調を崩して休職に至る
こうした状況が続くと、離職リスクが高まるだけでなく、病院の安全配慮義務が問われることにもつながりかねません。
3. 病院の電話カスハラに対応する現在の主な方法
電話越しのカスハラに対しては、すでにいくつかの方法が医療機関で採用されています。ここでは代表的な方法を紹介します。
3.1. 通話録音・自動録音システムの導入
通話内容を録音しておくことで、「言った・言わない」のトラブルを防ぎ、悪質なケースでは客観的な証拠としても活用できます。録音していること自体をアナウンスすることで、迷惑行為の抑止につながる場合もあります。
3.2. 対応マニュアル・NGワード集の整備
「どのような発言があった場合に通話を打ち切ってよいか」「どの時点で管理者に引き継ぐか」といった基準をあらかじめマニュアル化しておく方法です。対応するスタッフによって判断がぶれることを防げます。
3.3. 複数人・チームでの対応体制
1人のスタッフに対応を任せきりにせず、長時間化しそうな通話は途中で別のスタッフや管理者に交代する体制を取る方法です。特定のスタッフだけに精神的負担が集中することを防げます。
3.4. IVR(自動音声応答)による一次振り分け
「予約の方は1を、お問い合わせの方は2を」といった自動音声案内で用件を振り分け、簡単な問い合わせはガイダンスだけで完結させる方法です。
ただし従来型のIVRは選択肢に沿った定型対応が中心で、複雑な用件やクレームにはそのまま人が対応する必要があります。
3.5. AI電話サービスによる自動応答
音声認識AIが患者の用件を直接ヒアリングし、定型的な問い合わせへの回答や、通話内容のテキスト化・アラート通知までを自動化する方法です。IVRよりも柔軟な会話に対応でき、クレーム対応の1次受けをAIに任せられる点が特徴です。
これらの方法のなかでも、受付窓口における電話対応の負担軽減に特に効果を発揮しやすいのが、AI電話サービスの導入です。ここからは、AI電話サービスが具体的にどのようにカスハラ対策と業務効率化に役立つのかを見ていきます。

4. AI電話サービスで実現する受付業務の負担軽減
AI電話サービスの導入により、患者からの電話をAIが1次対応することで、スタッフが直接暴言やクレームを受ける機会を物理的に減らし、受付業務の負担を軽減できます。

4.1. 音声認識と自動応答による1次対応の実現
AI電話サービスは、高度な音声認識技術を活用して、人間の代わりに患者の用件をヒアリングします。これにより、以下のようなメリットが得られます。
定型業務の完全自動化
診療時間の確認、予約の変更、病院へのアクセス方法など、日常的な「よくある問い合わせ」をAIが自動で回答して完結させる
感情労働からの解放
患者が感情的になって電話をかけてきた場合でも、AIは常に冷静かつ一定のトーンで対応するため、スタッフが直接怒声を浴びる回数が減少する
専門業務への集中
電話の1次対応をAIに任せることで、スタッフは医師のサポートや来院患者のケアなど、人間にしかできない専門的な業務に集中できる
4.2. クレーム内容のテキスト化と即時共有
AI電話サービスの強みは、音声データをリアルタイムで処理し、組織全体の情報共有をスムーズにする点にあります。
通話内容の自動文字起こし
AIが患者との通話内容を自動的にテキスト化するため、スタッフは音声を聞き直すことなくテキストを読むだけで用件を把握できる
アラート機能による迅速な対応
テキスト化された内容に「責任者を出せ」「訴える」などのカスハラが疑われるキーワードが含まれていた場合、管理者や担当部署へ即時にアラートを送信する仕組みを構築できる
伝達ミスの防止
電話を受けたスタッフの主観が入らない客観的なテキストデータが残るため、「言った・言わない」のトラブルを防ぎ、正確な情報共有が可能になる
4.3. 従来の電話対応とAI電話サービスの比較
医療機関における電話対応業務について、従来の人間による対応とAI電話サービスを比較すると、以下のような違いがあります。
比較項目 | 従来の電話対応(スタッフ対応) | AI電話サービス(自動対応) |
対応可能時間 | 診療時間内のみ(夜間・休日は留守電) | 24時間365日対応可能 |
カスハラへの耐性 | スタッフが直接ストレスを受ける | AIが冷静に受け止め、スタッフを守る |
通話記録の残し方 | 手書きメモやカルテへの手入力(主観が入る) | 自動録音およびテキスト化(客観的データ) |
情報共有のスピード | 電話終了後に口頭やシステムで報告 | 受電と同時にテキストデータで即時共有 |
待ち時間 | 回線が混雑すると「話し中」になる | 複数回線の同時対応が可能(システム依存) |
5. AI電話を導入する前に知っておきたいチェックリスト
AI電話サービスを検討する際は、事前に以下の点を確認しておくとスムーズです。
確認項目 | 確認しておきたい内容 |
|---|---|
導入する範囲 | 代表電話全体か、予約専用ダイヤルなど一部窓口からのスモールスタートか |
緊急時のエスカレーションルール | 容体急変など命に関わる通報を、どの条件で人間のスタッフに優先転送するか |
FAQ・NGワードの整理 | AIに回答させる内容と、カスハラが疑われるキーワード(責任者を出せ、訴えるなど)の設定範囲 |
個人情報の取り扱い | 通話録音・テキストデータの保管期間、アクセス権限の設定方法 |
既存システムとの連携範囲 | 電子カルテと自動連携するか、手動での転記が必要な範囲はどこか |
導入までの期間 | 初期設定の開始から運用開始まで、一般的に1〜2か月程度を見込む必要があるか |
無料トライアルの有無 | サービスによっては無料トライアル期間が設けられていない場合があるため、事前検証の方法をどうするか |
運用を担当する部門・体制 | 総務課・医事課など、どの部門が中心となってプロジェクトを進めるか |
これらを事前に整理しておくことで、導入後の運用ルールで迷うことが少なくなります。
6. Dr.JOYのAI電話サービスが選ばれる理由
Dr.JOYのAI電話サービスは、医療機関向けに設計されたAI音声応答システムです。患者からの電話にAIが1次対応することで、受付スタッフがカスハラの矛先を直接受ける機会を減らし、業務負担の軽減につなげます。
主な機能
24時間365日の自動応答・予約対応
通話内容の自動テキスト化とカスハラの疑いがあるキーワードのアラート通知
通話データの分析・可視化
導入によるメリット
受付スタッフが感情労働のストレスを直接受ける機会が減る
クレーム対応の記録が組織に残り、再発防止や対応マニュアル作成に活用できる
実際の通話記録を新人スタッフの研修にも活用できる
導入費用や運用の詳細について詳しく知りたい場合は、Dr.JOYのAI電話サービス公式ページから資料請求・お問い合わせが可能です。
7. よくある質問(FAQ)
Q1: AI電話サービスは、高齢の患者でもスムーズに利用できますか?
A1: はい、利用可能です。自然な音声でゆっくりと案内するよう設計されており、操作が難しいと判断された場合や無言状態が続いた場合には、自動的に人間のスタッフへ転送する仕組みも構築できます。
Q2: AI電話サービスの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
A2: 医療機関の規模や設定するFAQの数によって異なりますが、一般的には初期設定の開始から運用開始まで約1〜2か月程度が目安です。導入前の準備期間を十分に確保することが、スムーズな運用開始につながるとされています。
Q3: AI電話サービスと院内の電子カルテを自動で連携させることは可能ですか?
A3: 現状の標準機能では、電子カルテとは独立したシステムとして稼働します。AIがテキスト化した通話内容をスタッフが確認し、必要な情報を手動で電子カルテに転記する運用が基本となります。連携を希望する場合は、個別の確認が必要です。

8. まとめ
医療機関におけるカスハラ問題と人手不足は、スタッフに過度な負担を強いる課題であり、クレーム対応に時間を奪われることで患者へのケアが後回しになり、離職の増加という悪循環を引き起こしかねません。カスハラ対応を個人任せにせず、組織としてルールと記録の仕組みを整えることが、受付業務の負担軽減とスタッフの安心につながります。
Dr.JOYのAI電話サービスを導入することで、よくある問い合わせや不当なクレームをAIが1次対応し、スタッフを感情労働のストレスから守ることが可能です。通話内容のテキスト化とデータ蓄積により、病院組織全体での冷静な状況把握と再発防止策の構築も実現します。
スタッフが安心して質の高い医療サービスを提供できる環境づくりの選択肢として、Dr.JOYのAI電話サービスをご検討ください。
9. 参考資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40277.html
厚生労働省『労働経済動向調査(各期の労働者過不足判断D.I.)』
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/43-1.html
UAゼンセン・ヘルスケア労働組合協議会(2024)『医療・介護現場におけるカスタマーハラスメントに関する共同調査(2023年11月〜2024年1月実施)』
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2024/08_09/top_04.html.

Dr.JOY株式会社 AI電話事業部 カスタマーサクセス
森川
このライターの記事一覧