"いなくなってから探す"を終わらせる― 入院患者の無断離院・離棟をリアルタイム検知する「離院アラート」が、 診療報酬改定で高まる現場ニーズに応える―
2026/5/15

Dr.JOY株式会社(本社:東京都港区虎ノ門、代表取締役社長・医師:石松 宏章、以下「当社」)は、入院患者の無断離院・離棟をビーコン技術でリアルタイムに検知する「離院アラート」の提供を通じて、2024年度診療報酬改定で義務化され、2026年度改定(今年6月施行)でさらに強化された「身体的拘束最小化」への対応に取り組む医療機関への導入支援を強化してまいります。
「拘束しないと患者さんが危ない」——改定後の現場に広がるこの切実な声に対し、離院アラートは「監視ではなく見守り」の仕組みで応えます。発信機の装着と受信機の設置だけで、患者が無断で病棟を離れた瞬間にパトランプが作動。少人数体制の夜間帯でも、スタッフの目が届かない場所でも、患者の安全を守ります。
湘南鎌倉総合病院では、離院アラートの導入により、システムを導入した病棟で離院・離棟の報告件数が減少。「これまで抑制に頼らざるを得ない場面もあったが、患者さんの安全を守りながら、自由度やADL低下防止にも配慮しやすくなった」と現場から声が上がっています。
「身体的拘束最小化」義務化が現場に突きつける課題
2024年6月の診療報酬改定により、急性期から慢性期、ICU・救急病棟まで全ての病棟を対象に、「身体的拘束最小化」が入院基本料の施設基準に加わり義務化されました。基準を満たせない医療機関は、入院料から1日につき40点の減算というペナルティが科せられています(2025年6月より経過措置終了・本格適用)。
さらに、2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、この評価がさらに強化されます。身体的拘束最小化の基準が「体制に係る基準」と「実績等に係る基準」の2段階に分けられ、それぞれに減算措置が設けられます。体制(チーム設置や指針作成等)が整っていない場合は1日40点減算、体制は整っているものの、「実績等に係る基準」が満たせない場合は1日20点減算することとされました。
一方で、特に質の高い取り組みを行う医療機関には「身体的拘束最小化推進体制加算(1日40点)」が新設されるなど、取り組みの差が診療報酬に直結する構造が強まっています。
また、認知症ケア加算についても、身体拘束を実施した日の加算は所定点数の20%での算定となり(実質8割減)、診療報酬上の影響が拡大しています。
加えて、見守り・記録・情報共有の3分野でICT機器を導入した病棟では、看護師配置数が1割以内の減少であっても入院基本料等の算定が可能となる施設基準が設けられました。離院アラートは、厚生労働省が定める「見守り」要件に対応するIoT機器として活用でき、施設基準の充足をサポートします。
制度は「努力義務」から「実績評価」へと確実に踏み込んでいます。現場に求められるのは、体制を整えるだけでなく、拘束率15%以下という具体的な数値目標の達成です。
しかし現場では、こうした声が後を絶ちません。
「認知症・せん妄の患者さんに、拘束なしで安全を守れるのか」
「夜間は人手が少なく、患者さんの動きを常に把握できない」
「無断離院が起きたとき、発見が遅れて重大事故につながらないか」
身体拘束を減らすことが求められる一方、患者の安全を守る責任は変わらない。このジレンマを、テクノロジーで解決する手段として「離院アラート」への関心が急速に高まっています。

無断離院は「患者安全」だけでなく「病棟が止まる」問題
高齢化の進展に伴い、医療機関では認知症患者の見守りや離院防止の重要性が一段と高まっています。厚生労働省は認知症高齢者数を2025年に471.6万人、2040年に584.2万人と推計しており、医療安全の現場でも患者の無断離院事例の増加が指摘されています。(2024年5月発表)

離院アラートとは
離院アラートは、BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコン技術を活用した、無断離院防止システムです。患者の識別バンドに発信機を装着し、病棟の出入口・エレベーターホール・非常階段などに受信機を設置するだけで、患者が無断で病棟を離れた瞬間にスタッフステーションのパトランプが作動。患者の所在をリアルタイムで確認できます。
「いなくなってから探す」のではなく、院内にいるうちに気づき、早く動くための仕組みです。

<システムの特長>
(1)発信機の装着が簡単・患者負担が少ない
既存の患者識別バンドに直接取り付けられるコンパクト設計。軽量・ソフトな素材と防水仕様で、皮膚トラブルのリスクも低減します。患者氏名やIDの登録にも対応し、使用期限内に複数の患者さんに再利用することも可能です。発信機の寿命は約6ヶ月です。

(2)パトランプ+スマートフォンへの二重通知で見逃さない
受信機が患者の通過を瞬時に検知すると、スタッフステーションのパトランプが点灯するとともに、スタッフのスマートフォンへもプッシュ通知が届きます。ステーションに不在の時も、離れた場所にいる時も、多職種が同時に状況を把握できます。検知場所に応じてパトランプの色を赤・青・黄の3色から設定できるなど、現場の運用に合わせた柔軟なカスタマイズも可能です。

(3)通過履歴で院内捜索を効率化
万が一患者を見失っても、院内の受信機を通じた通過履歴を確認でき、捜索のタイムロスを大幅に削減します。

(4)ペースメーカーへの影響が極めて低い安全設計
離院アラートで使用するビーコンはBLE(Bluetooth Low Energy)規格を採用しており、ペースメーカーへの干渉リスクは極めて低い規格です。すでに多くの大学病院でご利用いただいています。
導入事例|湘南鎌倉総合病院
【導入背景】
高次脳機能障害・認知症・アルコール依存症などの背景を持つ患者がエレベーターや非常階段を使って無断外出するインシデントが発生。発覚時には既に相当時間が経過しており、病院建物外の捜索や警察への連絡を要する事例もありました。
【導入効果】
脳神経外科・EHCU・消化器内科にシステムを導入。パトランプの警告で離棟をすぐに把握できるようになり、離院・離棟の報告件数が減少。
2024年度にはシステム導入病棟で実際に28件の離院が発生したものの、いずれも早期に検知・対応できたことで、重大インシデントには至りませんでした。入院時に看護師判断で離院リスクのある患者へ発信機を装着し、手首の発信機が気になる患者には足首に装着するなど、柔軟な運用を行っています。また、出入口での検知は青、病棟外での検知は赤とパトランプの色を分けることで、警告への慣れを防ぐ工夫も行っています。

【インタビュー動画】
湘南鎌倉総合病院様
※所属・肩書きはインタビュー当時のものです
Dr.JOY株式会社 労務支援事業部 執行役員 | 中城 英一 コメント

2026年度にさらに強化された診療報酬改定により、身体的拘束の最小化は医療機関に課せられた義務となりました。しかし制度への対応以上に大切なのは、患者さんの尊厳を守るという医療の本質に立ち返ることだと考えています。身体的拘束を最小化するためには、『拘束しない代わりに何で安全を担保するか』という問いに、現場が具体的な答えを持てるかどうかが鍵です。
『離院アラート』は、看護師が追いかけ続ける運用から、チームで早く気づき、早く動く運用へ変えていくための仕組みです。過度な抑制に頼らず患者さんの安全を確保できる環境をつくること——それが身体的拘束の最小化を現場で実現する、最も現実的な一歩だと信じています。
私たちは今後も、看護部・医療安全管理者・情報システム部門が連携しながら、患者さんの安全と尊厳を両立できる病棟DXを実装するための支援を続けてまいります。
当社は、今後も「すべての医療従事者に、次の一手を」を理念に、医療現場の業務負担軽減と医療サービス向上を実現するソリューションを提供してまいります。
会社概要

●本社所在地:東京都港区虎ノ門2丁目6番1号 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー17F
●設立 :2013年11月
●事業内容 :医療分野におけるソフトウェア開発・運用 / 医療機関への医療・医薬品情報の提供
●公式ウェブサイト:https://drjoy.co.jp/
以 上
